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PDCAとは?PDCAサイクルの重要性、よくある失敗例と対策方法を解説

PDCAは、多くの企業でやビジネスマンが使用する、業務効率化のためのフレームワークです。しかし、PDCAが提唱されたのは第二次世界大戦後ということもあり、「もう古い」と考える人も多いです。

しかし、VUCA時代という変化の激しい予測できない状況だからこそ、PDCAはとても有用なスキルです。PDCAを高速で回せるようになると、事業の成長にも個人の成長に寄与します。

本記事では、改めてPDCAがどのようなフレームワークなのか、OODAとの違い、PDCAのメリットやデメリット、PDCAが失敗する要因や効果的に実施するポイントなどについて説明します。

目次[非表示]

  1. 1.PDCAとは?
  2. 2.PDCAのプロセス
  3. 3.PDCAのメリット
  4. 4.PDCAのデメリット
  5. 5.PDCAの失敗原因と対策
  6. 6.PDCAを実施するポイント
  7. 7.PDCAを導入した企業事例
  8. 8.PDCAを実践する上でおすすめの本
  9. 9.OODAとは?
  10. 10.PDCAを上手く回すなら、リンクアンドモチベーション
  11. 11.記事まとめ
  12. 12.PDCAに関するよくある質問
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PDCAとは?

PDCAとは、

Plan(計画)
Do(実行)
Check(評価)
Action(改善)

の頭文字を取ったものです。

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを繰り返し回すことで、業務の改善を目指します。「PDCAサイクル」という言い方もありますが、同じ意味を表します。

PDCAは、第二次世界大戦後の1950年代、品質管理研究に取り組んでいたアメリカの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士とウォルター・シューハート博士によって提唱され、一般的には製造工程の改善手法の一つとして使われます。

現在では、ビジネスや個人の成長にも有用なスキルとして、チームやプロジェクトのマネジメントや、目標に向けて行動し前進するための手法として多くの人が使うフレームワークとなっています。

▼目標管理について詳しい解説はこちら
目標管理とは?行動振り返り、MBO、OKRを詳しく解説

PDCAに代わるとされるOODAとの違い

PDCAとよく一緒に紹介されるOODAは、どのような違いがあるのでしょうか。

まず、OODAとは

Observe(観察)
Orient(状況判断、方向づけ)
Decide(意思決定)
Act(行動)

の4つの行動の頭文字をとったもので、刻々と変化していく状況の中を、臨機応変な判断・行動で成果や結果を導き出すためのフレームワークです。

もともとはアメリカ空軍で生み出された手法で、変化の激しい航空戦において、パイロットが指示を待たずに現場の判断で動けるようにすることを目的にして誕生したと言われています。

PDCAが「計画を立て、行動する」というプロセスを踏むのに対し、OODAは「状況を見て臨機応変にまずはやってみる」ところから始まります。

商談数を上げたい、商品サービスの受注率をアップさせたいといった、既に前例があったり使えそうなデータがある目的の場合は、PDCAが有効です。前提やデータがあれば、比較すべき要素や次の計画もある程度見えるため、効率的に進められます。

一方で新規事業など、新たな商品やサービスを開発する場面においては、手探り状態からのスタートになるため、OODAを活用しましょう。OODAは計画を立てる時間がない、必要性がない場面を想定して開発されているため、新規事業など新しい発想を必要とする場合や、前例主義を打破したい、イノベーションを起こしたいといった場合に効果を発揮します。

このように、両者はそもそも性質が異なっているため、優劣の比較をするべきものではありません。それぞれの特徴を理解して、「この場面にはどちらが適しているのか」を判断して使うことが大切です。

PDCAのプロセス

ここでは、それぞれのプロセスについて詳細を説明します。

■PDCAを回す際の前提

前提として、PDCAを効果的に回していくためには、

管理指標
管理帳票
会議体

の3つを最終的に用意することが大切です。

どのような管理指標を作成するとよいか、についてはPlan(計画)の項目でお伝えしますが、考える際は「SMARTの観点」を活用すると良いでしょう。

SMARTの観点とは、

Specific(詳細化) 目標を適切にブレイクダウンする
Measurable(ものさし設定) 行動有無を判断できるようにする
Action Plan(アクション明確化) 達成に向けたアクションプランを明確にする
Responsibility(責任者決定) アクションごとに責任者を設定する
Time-bound(期限設定) アクションごとに期限を設ける

の頭文字をとった、目標を明確にするためのフレームワークです。Plan(計画)で目標を設定する際に大切な観点です。

目標が決まったら、管理帳票を作成する必要があります。管理帳票は目標によってどのような形式が良いかは異なりますが、「IDEAの観点」が役立ちます。

IDEAの観点とは、

Immediately(即時性) タイムリーな更新ができる
Display(周知性) 関係者全員が把握できる
Entirely(一覧性) 関連情報が一元化されている
Alarm(問題発見性) 問題発生時にアラートが立つ

の頭文字をとった、管理指標を可視化するためのフレームワークです。

管理帳票はDo(実行)やCheck(評価)を行う際に必要となるので、Plan(計画)を立てた後はこの観点を使ってぜひ作成してください。

■Plan(計画)

ここからはプロセスを具体的に説明します。まず、Plan(計画)はPDCAを回す際のスタート地点です。ここがうまくいくかどうかで、PDCAが成功するかが決まると言っても過言ではありません。

Planの段階では

目標(KGI)の設定
目標へ到達するために解決すべき課題の洗い出し
KPIの設定
KPIを達成するための解決案の洗い出し

を行い、自分が何を目指し、何を行うのか?を明確にしていきます。

目標の設定自体はなんでも良いですが、進捗を確認できるように必ず期日と定量目標を決めることが大切です。この2つは必ず目標とセットで設定しましょう。目標設定の際は前提の項目でお伝えした「SMARTの観点」も活用してみてください。

課題や解決案を洗い出す際は、プロセスに切ったり、ロジックツリー、5W3Hを使うなど、フレームワークを活用してみてください。漏れ/だぶりが発生しないように考えることが、PDCAを成功させるポイントです。

■Do(実行)

Do(実行)は、Plan(計画)で設定した目標や課題、解決案をもとに実現するためのアクションを考え、実行します。

Do(実行)の段階では

Plan(計画)で考えた解決案を元に、実際のアクションを設定
アクションの実行度合いを測れるよう、定量目標を設定
アクションをTo Doまで砕き、スケジュール化できるレベルまで細分化

を行い、確実にアクションを実行していきます。

Plan(計画)で設定したKGIやKPIは、結果が出るまでに時間がかかることが多く、簡単にコントロールできるものでもありません。しかし、「決めたアクションを実行するか」は自分自身でコントロールすることができます。

アクションを実行した先にKPIやKGIの達成があるので、「何をいつまでにどのくらいやるか」という定量目標を設定し、常にチェックできるようにしましょう。

■Check(評価)

Check(評価)では、Plan(計画)で設定した目標がどの程度達成できているのか評価します。

Check(評価) の段階では

KGI、KPI、アクションの定量目標の達成率を確認
できなかった要因の振り返り
できた要因の振り返り
を行い、目標に対する課題や解決案、アクションが適切なのかを検証します


Check(評価)では、達成率の確認やできなかった要因の振り返りまでは行う人が多いです。しかし、できた要因まで振り返ることで、課題解決の再現性が高くなったり、「できている部分をもっと伸ばそう」など新たな解決案が出てくる可能性もあります。

できなかった要因を振り返ることはもちろん大切ですが、一緒にできた要因も振り返ることで、「自分は達成に近づいている」という自信もつけましょう。達成に向けて前に進む力になります。

■Action(改善)

Action(改善)では、Check(評価)で振り返ったできなかった要因やできた要因を踏まえ、目標達成に向けた改善案を考えます。

Action(改善)の段階では、

できなかった要因やできた要因を踏まえた改善案の洗い出し
改善案のKPIとアクションの定量目標を設定

を行い、次のPDCAに繋げます。ここからはまたDo(実行)へ戻り、同じ手順を繰り返します。

改善案を洗い出す際には、目標設定から変えるべきなのか、課題設定を変えるべきなのか、解決案やTo Doを変えるべきなのかで次のPDCAが変わります。

目標設定から変えるべきなのであれば、新たな目標を設定してP(計画)からやり直す必要がありますが、課題設定や解決案を変えるべきなのであればD(実行)から調整して改めてPDCAを回していきましょう。

PDCAのメリット

PDCAのメリットは主に3つあります。

メリット①目標やアクションが明確になる

1つ目は、目標や取り組むべき課題、アクションが明確になることです。
Plan(計画)の段階で目標を設定するので、組織や個人の目標を明確にできますし、明確になった目標に対する課題設定や改善へのアクションまで具体化されます。

また、目標があることで、達成したい目標との現状のギャップを認識しようとするので、「ギャップを埋めるためにはどうしたらよいか?」と具体的な施策も考えやすくなるというメリットもあります。

事業成果もこのプロセスを重ねることで成長していくため、企業は営業目標等の数値的指標を設定するのです。

メリット②業務改善ができる

PDCAはもともと、製造工程の改善手法の一つなので、正しく使うことができれば着実に業務改善をしていくことができます。目標に対して、何故うまくいかないのか要素分解して仮説を立て、アクションを繰り返していくことで確実に改善へと繋がります。

そのためには論理的な仮説立てや課題の抽出が重要です。課題を洗い出す際は、MECE(漏れなく、ダブりなく)に分類しましょう。方法としては、業務プロセスを細分化してみる他、ロジックツリーで深堀りする、5W3Hを使うなど、ロジカルシンキングで使うようなフレームワークを活用してみてください。

メリット③課題や不足していることを見つけやすい

3つ目は、課題や不足していることを見つけやすい点です。

PDCAはP(計画)のタイミングで、定性的な目標でも定量化し、進捗を検証できるような状態にしています。目標と課題を元に決めたアクションについても、定量的な行動目標を設定しているのでモニタリングが容易です。

したがって、目標と現状のギャップも明確に見えてきます。ギャップが見えれば

今の行動が改善に繋がっているのか
どこに原因があり、何を変えれば改善するのか

について考えやすくなります。

メリット④行動に集中出来るようになる

PDCAサイクルを導入することで、やるべき行動に集中できるようになります。

上述のとおり、PDCAサイクルではまずPlan(計画)のフェーズで目標を設定し、目標を達成する方法を考えます。この過程でやるべきことが明確になり、やるべきことの優先順位を付けることができます。

これにより、一人ひとりの従業員は「自分が今やるべき行動」に集中できるようになるので、結果的に無駄な行動がなくなり、目標達成に向けた最短距離を進むことができます。

PDCAのデメリット

PDCAのデメリットは主に3つあります。

デメリット①PDCAを回すことが目的化する

PDCAを回す際によく陥ってしまうのが、PDCAを回すこと自体が目的になってしまという状態です。これが1番のPDCAを使う際のデメリットと言えるでしょう。

PDCAは、一定の時間をかけて繰り返し実行、評価、改善というプロセスを回すことで改善をしていくフレームワークです。

時間をかけているうちにPDCAを回すことを忘れ、消滅してしまう、Plan(計画)を立てるのみで満足してしまう、目標や課題を意識せずにPDCAを回そうとし、PDCAを回すことが仕事になっていってしまうといった可能性があります。

PDCAはあくまで目標達成のための手段です。得たい成果に立ち戻れない人には向いていないと言えるでしょう。

デメリット②無駄な会議が増える可能性がある

PDCAを回すことが目的化してしまうと、目標達成や課題解決のための会議ではなく「PDCAを回すための会議」が増えていく可能性があります。

部下がどんなタスクを行ったかのか、どんなタスクを行う予定なのかを説明するだけの会議になり、よりよいPDCAを回す材料にはならない会議を行うチームはたくさんあります。

PDCAも会議も、あくまで「目標達成や課題解決」を行うためのものです。その前提を外した会議を行わないように気を付ける必要があります。

デメリット③イノベーションを生み出しにくい

イノベーションを生み出しにくいのもPDCAのデメリットだといえます。PDCAは前例があったり使えそうなデータを元に、実行→改善を繰り返して成果を出そうとするフレームワークのため、新規事業などのアイディアを生み出すフレームワークではありません。

従って、新規事業や新たな商品やサービスを開発したいなどイノベーションを生み出したい場面においては、OODAなどのフレームワークを使ったほうが効果的でしょう。

PDCAの失敗原因と対策

広く知られているPDCAというフレームワークですが、「なんだかうまく回すことができない」と思っている人は多いです。ここではPDCAの失敗要因とその対策について解説します。

■Plan(計画)のとき

PDCAがうまくいかない人の多くは、このPlan(計画)の時点で問題があることが多いです。

失敗する要因は、

Plan(計画)を慎重に立てすぎて、実際にDo(実行)まで進めない
Plan(計画)が不十分で、検証できる状態でない

の主に2つです。

計画が慎重な人は、計画を立てる際に「絶対に間違ってはいけない」と思ってしまい、いつまでも計画ばかりを考え実際に行動に移せない場合が多いです。行動に移すことができなければ、当たり前ですが目標に近づくことはありません。

逆に計画が不十分な人は、感覚で動き出してしまうので「何を行えばよいか」が明確ではありません。

結果、課題解決に合っていない施策を実行してしまう、実行した内容を検証しようと思っても比較できる定量のものがなく、できなかった要因を分析できない、といった状況を引き起こします。

したがって、Plan(計画)の段階では「今の時点で1番精度の高い計画を立てて、まずは動いてみる」という意識が大切です。

自分は今、慎重になっているのか不十分な状態なのか客観視し、慎重な人は定量目標、課題、解決案が明確になっていればまずは実行に移ってみる、計画が不十分な人は定量目標、課題、解決案が明確になるまでは動かない、というようにバランスをとってみましょう。

■Do(実行)のとき

Do(実行)における失敗する要因は、

計画自体が実行できるレベルで立てられていない
To Doレベルまで落とし込まれていない
失敗を恐れている

の主に3つです。

計画自体が実行できるレベルで立てられていない場合は、計画がそもそもない、計画はあっても粗くて実行する内容が不明瞭、実行することが物理的に不可能、などのパターンがあります。この場合はPlan(計画)の段階に戻って計画を立て直しましょう。

To Doレベルまで落とし込まれていない場合は、実行できるまであと少しの段階です。計画した解決案を、スケジュールに落とし込めるレベルまでプロセスを細分化し、やるべきことを行動レベルで明確にします。自分でうまく細分化できないときは、先輩や上司の力を借りながら取り組みましょう。

失敗を恐れている、というのは多くの人が陥りやすい状態です。計画を立てても、いろんな理由から仮説に自信が持てず、行動に移せないのです。この場合は考え方を変える必要があります。

そもそも計画は仮説にすぎないので、実際に行動して検証してみなければ課題も見えてきませんし、目標にも近づきません。早めに実行して、失敗してもすぐに仮説を修正することで早く目標達成に近づきます。

■Check(評価)のとき

Check(評価)における失敗する要因は、

きちんと評価をせず、やりっぱなしになってしまう
計画を立てず、形式的な評価しか行わない

の主に2つです。

きちんと計画を立てても、評価する時間をとらずに行動し続けてしまうことは意外と多くの人が陥りがちな状況です。しかし、せっかく計画を立てて実行していたとしても、その行動が目標達成に近づいていなければ時間を無駄にしてしまいます。

評価をできていないと思う場合は、カレンダーやスケジュールであらかじめ評価の時間を押さえておくようにしましょう。

また、計画を立てず、形式的な評価しか行わないというパターンもチーム単位で動く場合は意外と陥る状態です。

PDCAは振り返りが大事、と考え、定例で振り返りの会議を押さえるものの、KGIやKPI、アクションの定量目標が定まっていなければ、会議を行っても良い振り返りを行うことはできません。この場合は改めてPlan(計画)の段階へ戻り、評価できるような計画を作成するところから始めましょう。

■Action(改善)のとき

Action(改善)における失敗する要因は、

何を修正するべきなのかわからない
改善案が適切でない

主に2つです。

何を修正するべきなのかわからないという状態になる理由は、検証対象であるKGI、KPI、アクションの定量目標それぞれの対象範囲がバラバラなため、修正する内容も大きく変わってしまうからです。

達成がそもそも難しそうなので目標設定から変えるべきなのか、優先すべき課題が違っていたようなので課題設定を変えるべきなのか、課題の方向性は合っているが成果が出なかったので解決案やTo Doを変えるべきなのかなど、どこにテコ入れして修正すべきなのかを見極めることが大切です。

修正すべきポイントが明確になったあとは、改善案を洗い出します。改善案はPlan(計画)の際と同じように、ロジカルに抜け漏れなく洗い出すことが大切です。この際に、最初のPDCAの時は優先順位を落として実行しなかったアクションなどにも目を向け、改善案を考えてみるのも良い方法です。

なるべく多くの案の中から実行する改善案を決められるよう、周囲の人の力も借りながら考えましょう。

PDCAを実施するポイント

ここでは、実際にPDCAを実施していくにあたって重要なポイントを解説します。

■計画は具体的に詳細に立てること

1つ目は、計画は具体的に詳細に立てることです。先述した通り、PDCAがうまくいかない一番の原因は、最初のPlan(計画)の時点で失敗しています。

したがって、PDCAを回す際は

定量目標を設定し、測定可能な状態にすること
目標と課題の全体像を明確にし、どこに取り組んでいて何にヒットするのか可視化する
実際にどんな行動をするのか、To Doレベルまで細分化する

という3点を外さないように計画を立てましょう。

目標と行動を具体化することで、何のために何をするのかが明確になり、行動に迷うこともなくなります。そのため、目標達成に近づくのです。

■まずは計画した通りに実行してみる

2つ目は、まずは計画した通りに実行してみることです。どんなに素晴らしい計画を立てられたとしても、まずは実際に行動へ移してみなければ、そもそも実行可能なのか、その計画が良かったのか悪かったのかという検証を行うことができません。不安や心配があっても、まずは行動に移しましょう。

行動した結果分かったことは、どんな状況でどのようなことが分かったのか記録を残しておいたり、計画通りにいかなかった場合は、うまくいかなかった時の状況や、考えられる課題が分かるようにメモを残しておくことで、Check(評価)の段階で分析がしやすくなります。

実際に行動してみた結果を検証し、修正を加えてまた行動して検証するというサイクルを繰り返すことで、目標達成に近づきます。

■タイムマネジメントを怠らない

どんなに素晴らしい計画を立てて、To Doが整理されていたとしても、実際に実行するための時間がなければ意味がありません。

マルチタスクに苦手意識を持つ人は多いですが、例えばチームを率いて何か目標達成をしなければいけない場合は、自分のことだけでなくメンバーの状態にも気を配る必要がありますし、より全体を捉えてPDCAを回していかなければなりません。

このような状況で時間がなくなった時に大事なことがタイムマネジメントです。

タイムマネジメントを行う際は、まずは自分が現状抱えているタスクを全て洗い出し、それぞれにどれくらい時間をかけているのか可視化します。タスクを眺めて、捨てられるタスクがあれば捨てて時間を捻出します。

それでも足りない場合は、タスクに優先順位を付けて、優先順位の高いものから取り組むようにしましょう。優先順位を付ける際には「重要・緊急マトリクス」などを活用することがおすすめです。

▼マルチタスクに関する記事はこちら
マルチタスクとは?メリット・デメリットや得意な人の特徴・シングルタスクとの違いは?効率の良いやり方も解説

■計画は実現可能な範囲にする

PDCAサイクルを回す際は、実現可能な計画を立てることが重要です。

現実的でない計画を立ててしまうと、「無理がある」「できるわけがない」といった感情から従業員のモチベーションが下がってしまいます。そうなるとプロジェクトそのものが頓挫する可能性もあり、予算や時間などのリソースを無駄に消費することになります。

計画が実現可能なものであれば、「うまくやれば実現できるはずだ」といった気持ちから、従業員は目標達成に向けて意欲的に取り組むことができます。また、計画にズレが生じても比較的容易に修正して、再び目標へと向かうことができます。

■定期的な評価・確認を行う

PDCAサイクルを回しているときは、定期的に評価・確認をすることが重要です。

プロジェクトの運用中は、想定外の問題が生じたり外部環境が変わったりすることが多々ありますが、定期的に評価・確認をしていないとこのような問題や状況に気付くことができず、対応が後手後手に回ってしまいます。

一方、定期的に評価・確認をしていれば、新たな問題の発生や状況の変化をすみやかにキャッチでき、目標達成に向けて最適な計画へと修正することができます。

また、定期的に評価・確認をしないと「現在地」が分からないため、従業員が不安を抱きがちですが、目標達成に向けて前進していることをその都度確認していれば、従業員のモチベーションを維持しやすくなります。

PDCAを導入した企業事例

東京海上日動火災保険株式会社は、国内最大の損害保険会社として、1879年に創業しました。組織と社員の関係性において「エンゲージメント」を重要なキーワードとして位置づけています。特に、形のない商品である「保険業」において、事業の核となるのは「人」であり、社員の働きがいが企業の持続的な成長に直結するとの確信を持っています。

コロナ禍によるリモートワークの進行や労働市場の変化に伴い、組織状態を俯瞰的に把握し、改善できる仕組みの導入が必要となりました。この背景から、モチベーションクラウドの導入を決定しました。モチベーションクラウドを用いることで、組織課題や改善すべき項目が科学的なエビデンスとともに明示され、社員の期待度と満足度を二軸で把握することが可能となりました。

そして、このモチベーションクラウドの結果を活用して、組織課題や改善すべき項目を明確化しました。この際、会社全体の傾向だけでなく、階層や部署、性別などのセグメントでのデータ分析を行い、各セグメントの傾向を明確にして、それぞれで有効であろう計画を立てました。

その後、各責任者の下で組織改善の施策を実行しましたが、実行しっぱなしにするのではなく、短期的なスパンで簡易的なサーベイを実施して、改善の進捗度合いをチェックしました。

定期的なサーベイでの調査をもとにして、持続的な取り組みとして組織改善のPDCAサイクルを回しています。

▼さらに詳しい情報はこちら
企業成長に直結する「エンゲージメント」向上のため、組織のPDSサイクルを回す

PDCAを実践する上でおすすめの本

■鬼速PDCA 冨田和成



「PDCAほどわかっているつもりでわかっていない、そして基本だと言われているのに実践している人が少ないフレームワークも珍しい。」と著者は言います。

著者が10年以上の実践を通して磨かれてきたPDCA術を、誰でも実践できるように、各フェーズごとにわかりやすく解説されている本です。

圧倒的な「量」と「質」でPDCAを解説しています。PDCAで決定版と言えるでしょう。すぐに成果を出したい、PDCAの考え方や使い方を基本から詳しく知りたい人におすすめです。

図解版もあるので、読書が苦手な人は図解版をお選びください。

■自分を劇的に成長させる! PDCAノート 岡村拓朗


この本では、ノートを使ってPDCAを回す方法が紹介されています。

著者は、多くの人がPDCAを回せないのは、「PDCAを回す3つのルールが理解されていないから」と言います。ノートを使うことで、自然とPDCAが仕組み化・習慣されるようになり、あらゆることが改善され、成果を出せるようになります。

著者自らが開発した、PDCAノート術を余すところなく公開している本です。自分自身を変えたい、もっと成長したいと思っている人におすすめの本です。

OODAとは?

PDCAに代わるとされるOODAループとは、軍事戦略家であるジョン・ボイド大佐によって提唱された意思決定のフレームワークです。このフレームワークは、高速で変化する状況下での意思決定を助けるために設計されました。特に戦闘機での戦いやビジネス、スポーツなど、多くの分野での意思決定に応用されています。

OODAは以下の4つのステップから成り立っています。

・Observe(観察)
・Orient(方向付け)
・Decide(決定)
・Act(行動)

Observe

このステップでは、環境や状況を観察し、情報を収集します。これには、敵の動き、自分の位置や状態、その他の関連する情報が含まれます。ビジネスにおいては、自分の周囲でどのような環境変化があるか、どのような事象が生じているのかを詳しく観察することが当てはまります。

Observe・Orient

収集された情報を解析し、自分の現在の状況や可能性を理解するステップです。これには、過去の経験、文化的背景、新しい情報の解釈などが関与します。方向付けは、OODAループの中で最も複雑で重要なステップとされています。これは、情報をどのように解釈し、どのような意味を持たせるかによって、次の決定や行動が大きく影響されるからです。

Observe・Decide

方向付けのステップで得られた情報と解釈を基に、具体的な行動を決定します。このステップでは、可能な選択肢を評価し、最も適切なものを選びます。

Observe・Act

決定した行動を実際に実行するステップです。行動が実行されると、状況は変化し、再び観察ステップに戻ります。このループは、状況が終息するまで、または目的が達成されるまで繰り返されます。

PDCAを上手く回すなら、リンクアンドモチベーション

PDCAはどんな業務にも必要なスキルです。
当然、事業戦略の中の日々の業務だけではなく、事業の根幹になる組織づくりにも適用するべき観点です。

・組織として何をエンゲージメントファクターとするか
・事業戦略の実現に向けた意欲喚起の方向性は何か
を定めた上で、
・人材開発の観点で採用・育成・配置を定める
・役割設計の観点で求められる機能や階層の枠組みを設ける
・管理制度として会計制度や人事制度を作る
といった運びになります。

そのいずれも、定めた方向が良いのか、何を改善する必要があるのかを判断するために、関係者とKGIやKPIをすりあわせ&設定する必要があります。振り返ることで、次に取るべきアクションが見えたり、学びとしての事例が溜まるなど知識としての無形資産になります。

リンクアンドモチベーションでは人材開発や組織づくりにおいて、まず診断をすることを重視しています。

人材開発や組織づくりについて、現状の方向性で良いのかを客観的に診断することで、変革においてマクロにアプローチするべきか、ミクロにアプローチするべきかが定まり、実効性のある変革にに取り組むことができます。

また変革の際も重要指標を設け、モニタリングとして良い・悪いを判断することで、目指すべき方向性の合意が取りやすくなります。

詳細が気になる方は下記ページからご確認ください。

▼参考:人材開発の診断ツール(ストレッチクラウド)
​​​​​​​https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/service

▼参考:組織開発の診断ツール(モチベーションクラウド)
​​​​​​​https://www.motivation-cloud.com/service

記事まとめ

今回はPDCAについて解説しました。もともと製造工程の改善手法の一つとして使われていたPDCAですが、目標の達成に向けてあらゆる課題や問題に適応できる効果的な手法です。

特徴やポイントを理解して運用すれば、高い成果を出せるフレームワークなので、本記事を参考にしながら部署やチームの成果、自身の成長に繋げていただければ幸いです。

PDCAに関するよくある質問

PDCAとは?

PDCAとは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)の頭文字を取ったものです。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを繰り返し回すことで、業務の改善を目指します。「PDCAサイクル」という言い方もありますが、同じ意味を表します。

PDCAのメリットとデメリットは?

PDCAのメリットとデメリットとして以下のようなものがあります。  

■メリット①:目標やアクションが明確になる  
■メリット②:業務改善ができる  
■メリット③:課題や不足していることを見つけやすい  
■デメリット①:PDCAを回すことが目的化する  
■デメリット②:無駄な会議が増える可能性がある  
■デメリット③:イノベーションを生み出しにくい

PDCAを実施するポイントは?

PDCAを実施するポイントとして以下の3点は認識しておきましょう。  

■計画は具体的に詳細に立てること  
■まずは計画した通りに実行してみる  
■タイムマネジメントを怠らない

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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