企業におけるマインドセットの意味とは?
重要性や研修方法を紹介




人材育成の現場において、「内省」という言葉・考え方が話題になっています。 似た言葉である反省は、日常的にも使用されていますが、内省については馴染みのない人も多いでしょう。

しかし、内省の目的ややり方をしっかり理解することで、人材育成や個人のパフォーマンス向上に活用できる可能性があるでしょう。

今回は人材育成に大きく関わる「内省」の意味やビジネスにおける効果、具体的な実践方法について紹介します。自身のパフォーマンス向上や、企業の人材育成に悩んでいる人事担当者は是非ご参考にしていただければと思います。


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マインドセットとは

■マインドセットとは?

マインドセットとは以下のような様々な要素から形成される思考パターンや固定化された考え方のことです。

1.経験
2.教育
3.先入観

マインドセットの具体例は、価値観や思い込み、信念や暗黙の了解等が代表的です。

近年、マインドセットがポジティブであるか否かが、専門性やスキルよりもパフォーマンスに影響があると言われており、ポジティブな成長マインドセットへの関心が高まっています。

■企業のマインドセット教育の目的

企業がマインドセット研修を実施するのは、マインドセットには「伝播する」という特性があるからです。

組織の結節点であるマネジャーやリーダーが、ポジティブなマインドセットを持っていれば、そのポジティブなマインドセットは部下にも伝わります。

逆にネガティブなマインドセットを持っていて、常日頃から「どうせできない」「しょせん自分なんて」「やっぱりできなかった」といったマインドセットをマネジャーやリーダーが持っていた場合、部下も同じような思考に陥ってしまうでしょう。

だからこそ、結節点であるマネジャーやリーダーには、ポジティブなマインドセットが求められます。「どうせ自分には」ではなく「自分だから」「自分こそは」という気持ちを持ち、「やってみなければわからない」と自己暗示をかけることが大切です。

■企業のマインドセット教育の重要性

繰り返しにはなりますが、マインドセットには「伝播する」という特性があり、組織の結節点であるマネジャーやリーダーがポジティブなマインドセットを持っていれば、そのポジティブなマインドセットは、部下にも伝わります。

だからこそ、企業にとってマインドセット教育を行うことはとても重要です。なぜならポジティブなマインドセットを個々人が持つことで、組織としての挑戦を促進していくことができます。

「自分だから」「自分こそは」「やってみなければわからない」といったポジティブなマインドセットを持っている個人は、まず自分に対して期待を抱きます。期待を抱いているからこそ挑戦をし、結果として成功につながります。

また、その成功体験がさらなる自分への期待に繋がる、ポジティブなサイクルを生み出すことにつながるのです。組織に属する全員がこのポジティブサイクルを生み出すことで、組織は大きく成長することができます。

組織のマインドセットの要因とは

■企業におけるマインドセット

マインドセットは、個人だけでなく、企業にも存在します。企業のマインドセットは以下のような様々な要素から形成されています。

1.ミッション
2.ビジョン
3.戦略
4.組織構成
5.歴史
6.製品・サービス
7.マネジメントスタイル
8.コミュニケーション

これらの要素により、企業も独自の価値観を形成しています。
以下では、構成要素の中でも大きな影響力を持つ企業の戦略、歴史、製品、事業特性について説明をしていきます。

■戦略、ビジョン、企業理念

企業の戦略やビジョン、ミッションによって形成されるマインドセットは大きく異なります。

例えば、「マーケットシェア1位になる!」というビジョンを掲げている企業であれば、研究開発(R&D)や広告宣伝費により資金を投資するためのマインドセットが形成されますが、「質にこだわり、顧客と深い関係性を築く」というビジョンを掲げている企業においては、生産管理等により資金を投資するマインドセットが形成されるでしょう。

このように企業の戦略やビジョン、ミッションによって形成されるマインドセットは、異なってきます。

■企業の歴史

企業は、経験してきた歴史によっても形成されるマインドセットが異なります。

例えば、満を持して市場に投下した新製品に大きな欠陥があり、リコールをせざるを得なくなった場合、その企業から「挑戦すること」「リスクテイクする」といったマインドセットが失われることがあります。このことからも歴史は、企業のマインドセットに影響を与えることがわかると思います。

■製品特性、事業特性

最後に組織のマインドセットは、企業が扱う製品や事業の特性にも左右されます。

例えば、商品ライフサイクルが短いハイテク産業では、素早い意思決定や、一定のリスクを背負い、アクションを起こすマインドセットが求められます。

組織に必要なマインドセットとは?

■組織に必要なマインドセット

改めてになりますが、組織がポジティブなマインドセットを持っていることは、非常に重要です。なぜならマインドセットは、伝播をするからです。

では、ポジティブなマインドセットとは、具体的に何を指すのでしょうか。私たちは「成長志向」のマインドセット、グロース・マインドセットが極めて重要だと考えます。

成長のない組織は、存続することができません。組織が成長し、社会に価値を届けるためにも「成長志向」のマインドセットが大切です。「成長志向」のマインドセット(グロース・マインドセット)については、後ほど詳しく解説します。

■リーダーに必要なマインドセット

組織の結節点であるリーダーがポジティブなマインドセットを持っていることで、そのポジティブなマインドセットを部下にも伝播させ、組織として「成長志向」のマインドセットを有することができるようになります。

中でもリーダーに必要なマインドセットは以下の3つです。

1.率先
2.指導
3.適応

リーダーは、率先してメンバーに挑戦を促し、リーダー自らも挑戦を恐れないマインドセットを持つことが重要です。また、外部環境・情報に対しても常にアンテナを立て、新しいアイディアや概念を率先して組織に取り入れることが求められます。

また、リーダーは常にメンバーに対して適切な指導を行い、チームとしてポジティブなマインドセットを有する状態を維持する必要があります。

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マインドセットの成長型と固定型の違い

スタンフォード大学 心理学教授のキャロル・ドウェック教授の研究結果によると、マインドセットは「グロース・マインドセット」と「フィックスト・マインドセット」の2つに大別されます。

以下の具体例を基に、「グロース・マインドセット」と「フィックスト・マインドセット」の2つを比較してみましょう。

次のような状況を想像してください。

「大切なミーティングがある日に限って寝坊してしまい、駅まで急ぎ足で向かうあなた。急いでいたこともあり、駅のホームの階段で転んでしまい、朝から落ち込んでしまいます。大切なミーティングでは、顧客との取引を取りまとめることができず、ガックリ。家に帰って夫に話をするも、そっけなくされてしまった。」

いかがでしょうか。フィックスト・マインドセットの人間は、上記の状況を聞くと「最悪な一日だ」「やっていられない」「いいことなんてない」「自分に能力はない」といった発言をします。

しかし、よく考えてみてください。転びはしましたが、怪我はしていませんし、取引も受注とまではいきませんでしたが、失注をしたわけではありません。

夫にもそっけなくされただけであって、もしかしたら彼も疲れていた、嫌なことがあったのかもしれません。ネガティブなことがあったかもしれませんが、致命的なことは何一つ起きていません。こういった状況下に遭遇すると、フィックスト・マインドセットの人間は、すぐに自分に能力はないと思ってしまうのです。

グロース・マインドセットの人間は、「怪我をしてミーティングに間に合わないなんてことにならなくて良かった」「今日、取引を取りまとめることができなかったが、着実に前に進めている。

次こそは取引を締結できる」「もしかしたら彼も何か嫌なことがあったのかもしれない、明日何があったのか聞いてみよう」というような反応・捉え方をする傾向にあります。

嫌なことがあって、落ち込むのは、人間であれば誰しもあることです。しかし、グロース・マインドセットを持つ人間は、そこで諦めることなく、物事をポジティブに捉え、立ち向かうことができることが特徴です。

ここで大切なのは「マインドセットは変えられるもの」であることを認識することです。

生まれつき自分はフィックスト・マインドセットである、ということではなく、自分次第でフィックスト・マインドセットをグロース・マインドセットに変えていくことはもちろん可能です。目標を達成するため、夢や願望を実現させるためにも「変えられるもの」にフォーカスすることが極めて重要です。

以下で2つのマインドセットをもう少し詳しく比べ、どうすればフィックスト・マインドセットをグロース・マインドセットに変えていくことできるのかについて見ていきましょう。

■グロース・マインドセット

グロース・マインドセットとは「自分の能力は、努力次第で成長させることができる」という考え方のことです。

グロース・マインドセットは
・向上心を持っている
・粘り強い
・失敗から学ぶことができる
・挫折しにくい
というような特徴に現れます。

グロース・マインドセットを持つ人は、失敗や挫折をしても、その事実から目をそらさずに、問題解決に取り掛かります。

例えば、テストで及第点を超えたとしても「数学の○○をもっと重点的に復習することで、次回はもっといい点が取れる」と自ら基準を上げて改善を試みたり「△△君は数学が得意だから勉強法を聞いてみよう」とさらなる成長を望みます。

グロース・マインドセットを持つ人にとっての失敗は、成長ができないこと・止まることです。なぜなら、彼らは能力は伸ばせるものだと信じているからです。だからこそ努力を重ね、努力こそが人をより有能にしてくれると信じているのです。

■フィックスト・マインドセット

一方、フィックスト・マインドセットとは「能力は生まれつき決められていて、変わらない」という考え方です。

フィックスト・マインドセットは
・自分は能力があり、その能力を周囲に対し証明しようとする言動
・やる前からこれはできないと諦めてしまう
・失敗に対して否定的
というような特徴に現れます。

グロースマインドセットを持つ人は、失敗や挫折をしても、その事実から目をそらさずに、問題解決に取り掛かりますが、フィックスト・マインドセットを持つ人は、失敗や挫折から目をそらし、「自分にはできるはずがなかった」「どうせ自分なんて」と自己防衛に走ってしまう傾向があると言われています。

例えば、テストで平均点より低い点数だったとしても「僕より低い点数の人はまだまだいる」と自分よりも成果が出ていない人に焦点を当て、満足してしまうことがあります。フィックスト・マインドセットを持つ人は、自分が他者からどのように評価をされるのかを気にするのに対し、グロースマインドセットを持つ人は、自らを向上させることにフォーカスします。

また、フィックスト・マインドセットを持つ人たちにとっての失敗はつまづくことです。「能力は生まれつき決められていて、変わらない」と信じているので、努力をすることは、自分が無知であることを証明していることと同義、努力することは、悪だと思い込んでいます。

こういったフィックスト・マインドセットは、自らの成長機会を失ってしまうことに直結しますし、グロース・マインドセットを持つことで、個人の未来は大きく変わってきます。

■フィックスト・マインドセットからグロース・マインドセットに移行する方法

では、フィックスト・マインドセットをグロース・マインドセットに変化させるには、どうすればいいのでしょうか。グロースマインドセットに変化させるための3ステップをご紹介します。

1.マインドセットの存在を知る

ファーストステップは、まずマインドセットの存在について知ることです。 本記事で紹介したようにマインドセットがいかに個人の成長に影響を与えているのか。また、個々人のマインドセットによって組織がどのような影響を受けるのかを知ることが大切です。

2.自分のマインドセットの傾向を知る

多くの人は、グロース・マインドセットとフィックスト・マインドセット、両方を備えており、状況や環境によってマインドセットが変わります。自分はどのような状況・環境だとグロース・マインドセットを持っているのか、逆にどのような状況・環境だとフィックスト・マインドセットになってしまっているのかを理解することが重要です。

3.必要なマインドセットを身に着けるための習慣を生み出す

最後は、必要なマインドセットを身に着けるための習慣を生み出すステップです。自分は、どのような状況・環境だとフィックスト・マインドセットになってしまっているのかを理解することができたら、フィックスト・マインドセットをグロース・マインドセットに変化させるための習慣を自ら生み出し、徹底することが大切です。

例えば
・失敗をした際には目をそらすのではなく、次はどうすれば成功するかを一度考えてみる
・失敗をしてしまった結果だけにフォーカスするのではなく、その過程にも着眼し、GOODとMOREをリストアップしてみる
などがあげられます。


■部下にグロース・マインドセットを持ってもらいたいリーダーへのアドバイス

マインドセットは、組織に属する関係者全員に伝播するからこそ、より多くのメンバーがグロース・マインドセットを持っていることが重要です。部下にグロース・マインドセットを持ってもらうために、組織の結節点であるリーダーが注意すべきは、以下の3点です。

1.小さな成功体験を伝えてあげる

1つ目は、小さな成功体験を伝えてあげることです。

グロース・マインドセットへ変化するために大きな成功をする必要はありません。小さくても良いので、成功体験を積み重ね、それを伝えることがメンバーの自己肯定感に繋がり、少しずつマインドが変化していきます。

2.ミッションやビジョンを語る

2つ目は、ミッションやビジョンを語ることです。

メンバーがミッションやビジョンを意識し、自身の業務と結び付けることができれば、失敗に対しての認識を変え、マインドセットを促すことに繋がります。

どのような状況でメンバーがフィックスト・マインドセットになりがちなのかを把握する

どのような状況でメンバーがフィックスト・マインドセットになりがちなのかを把握することも重要です。人の外見が十人十色であれば、マインドセットも十人十色です。

チームのメンバーがいつ、どのような状況だとフィックスト・マインドセットになりがちなのかを把握することで、リーダー自らが適切なタイミングでフォローやサポートをすることが可能になります。

組織マインドセット研修

■マインドセット研修とは

近年マインドセットに関する研修を行う企業も増えてきています。マインドセットは

1.経験
2.教育
3.先入観

のような様々な要素から形成される思考パターンや固定化された考え方であり、研修のみで変化させることは難しいですが「フィックスト・マインドセットからグロース・マインドセットに移行する方法」で説明した3ステップにならい、マインドセットの存在と自分のマインドセットの傾向を知ってもらうことは可能です。

■マインドセット研修例

マインドセット研修の具体例を2つ紹介します。

1.新入社員研修

社会人になったばかりの新入社員に対して、マインドセット研修を実施することは効果的です。ビジネス経験が少ない新入社員は吸収力が高いので、この段階でマインドセットの存在と自分のマインドセットの傾向を知ってもらい、失敗に対しての向き合い方を学ぶことで、成長角度を上げることができます。

2.グローバルビジネスマインドセット研修

グローバル化が進む現代において、グローバル市場を意識して仕事をすることは重要です。しかし、中には「自分の仕事はグローバルとは関係ない」「英語は苦手」と内向きなマインドセットを持っている人たちも少なくありません。

そういった人たちに対して「そもそもグローバルとは何か」「なぜ自社にとってグローバルを意識することが大切なのか」「具体的に何をすればいいのか」とグローバルに対して前向きなマインドセットを持ってもらうための研修を実施する企業も近年増えています。

記事まとめ

本記事では、マインドセットの2つのタイプ(フィックスト・マインドセットとグロース・マインドセット)の紹介とともに、なぜマインドセットが個人・組織において重要なのかをお伝えしました。

グロースマインドセットを持つ人は、失敗や挫折をしても、その事実から目をそらさずに、問題解決に取り掛かります。こういったマインドセットを持つ人を増やすことが、企業のさらなる飛躍に繋がるでしょう。

参考:キャロル・S・デゥエック マインドセット「やればできる!」の研究

著者プロフィール

  

S.H

【プロフィール】
リンクアンドモチベーション入社。リンクグローバルソリューション出向。 以降、大手企業向けのコンサルティングに従事。 「グローバル人材開発」「次世代リーダー育成」「グローバル理念浸透」を主な専門領域とし、 数多くの業界の企業様にコンサルティング経験を持つ。
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