ビジネスにおけるコミュニケーション能力の重要性と
能力向上のポイントを解説

あらゆる人々と社会で生きていくためには、周囲の人たちとコミュニケーションを取ることが必要不可欠です。 職場、家庭や友人関係、恋愛などのシーンにおいても、どのような人間関係を作るか、そしてその関係の良し悪しは、すべてコミュニケーションによって成り立っています。 つまり、コミュニケーション能力は、他人との人間関係を良好に築き、自身の人生をより良くしていくために必要不可欠なものです。また、仕事でパフォーマンスを出すうえでも欠かせない能力の一つといえるでしょう。 本記事では、コミュニケーション能力を鍛えるための方法やコツをご紹介します。 ▼【リンクアンドモチベーションのサービス特徴】が分かる資料はこちら サービス紹介資料ダウンロード  

コミュニケーション能力とは?

■コミュニケーションの手段

コミュニケーションの手段は大きく「言語」と非言語に分かれます。

言語

言語は、言葉そのものです。頭の中にある「考え」「価値観」「知識」といった情報を言葉に変換し、私たちは相互にやりとりをしています。 無意識のうちに私たちは、自分が考えていることを伝えるためにどの言語、どの言葉を使って伝えるかを考え、言語化して伝えているのです。

非言語

非言語のコミュニケーションとは、目の動きや表情、しぐさ、声のトーン、話すスピードなどです。 相手の「感情」や言葉の裏に隠された「本心」などを汲み取るうえで重要になるのが、こうした非言語の領域です。 例えば、発言内容は堂々としているものの目がきょろきょろしていると「落ち着きがない」「自信が無さそう」などの印象を感じることがあるでしょう。言語に現れない非言語の部分も汲み取ることで、よりコミュニケーションが円滑になります。

■コミュニケーション能力の構成要素

コミュニティは決して1人で行うわけではなく、相手と相互のものです。そのことを踏まえると、コミュニケーション能力は「伝える力」「聞く力」「読み解く力」に分かれるでしょう。

伝える力

相手に分かりやすく、そして自分の言いたいことをきちんと伝える力のことです。 考えを言語化して伝えることはもちろん、相手のリテラシーに合わせて言葉を選んだりすることも伝えるうえでは重要です。 伝える力には非言語のものもあります。目の動きや表情、声のトーン、身振り手振りを使うことです。「言語を聴く力」にも関連しますが、相手が話しやすい雰囲気を作るために、非言語でのコミュニケーションが重要となります。 相手に興味を持って話していることを伝えるために、相手の方へ体や視線を向けたり、適度にうなづいたりあいづちを打ったり、表情で反応をしたりしましょう。

聞く力

相手の話を聞く力も重要です。コミュニケーション能力が高い人=話すのが上手な人、と捉えられることもありますが、実は聞く力も同じくらい重要です。 なぜなら、スティーブン・R.コヴィーの「7つの習慣」にもあるように、人は自分が影響を与えていると思う人から影響を受けやすいからです。 例えば、普段から自分の話ばかりしてくる人と、適度に自分の話も聞きつつ話してくれる人とではどちらの話を聞きたいと思えるでしょうか?言うまでもなく、自分の話を聞き、共感してくれる人を信頼し、もっと関係性を紡ぎたいと思うはずです。 聞く力を鍛えるためには、まず「相手の伝えたいことを最後までしっかりと聴く」という姿勢と態度が重要です。 聴く力が不足している人で、相手の話の展開が見えたら先回りをして話し始めたり、途中でさえぎって質問をする人がいます。最後まで聞き終わらないうちに相手の言葉を否定してしまうこともNGです。 最後まで聞いてくれないと相手は「本当に理解しているのかな?」と思ったり「自分の話には興味がないのだろう」と思ってしまい、自分の話を快く聞く気持ちにはならないでしょう。 また、腕を組んだりしかめっ面で話を聞いたりすると、相手に威圧感を感じさせたり心を開いてくれていないような印象を与えるので、これも避けましょう。 「聞く力」は相手の伝えたいことを理解する力でもあります。相手の言葉だけで理解しきれない場合は、適宜質問をしたり、「このような理解で合っていますか?」などと反復して確認をしましょう。

読み解く力

相手の感情や言葉の裏に隠された本当の思いなどをくみ取るうえで重要になるのが、非言語を読み解く力です。 たとえば分かりやすい例でいうと、相手が感謝の言葉を述べつつも表情が暗かったら、本当は不満があるなど、他に本心があるのではないかと推測ができます。 人は気持ちに寄り添ったリアクションをしてくれたり、共感をしてくれる人に信頼を寄せるので、信頼関係を築くうえで重要なスキルです。 読み解く力を鍛えるためには、「相手を観察すること」が基盤となります。 簡単なことからで構いません。相手の表情やしぐさを見て、 ・腕を組んでいる→攻撃、反論されたくないと思っている ・目がきょろきょろしている→緊張している ・しかめっ面になっている→疑問や違和感を感じている など、観察から読み取れる相手の感情や状態を言語化していくのが良いでしょう。 また、読み取る力は「相手に興味を持つ」力も重要になりますが、いきなり人に興味を持てと言われても難しいでしょう。人は観察を繰り返し相手のことを知るうちに、自然に興味が湧いてくるものです。まずは簡単な観察を行うことで読み解く力を身につけましょう。 本来読み解く力は、人間が本能的に持っている力です。普段のコミュニケーションを言語に頼っている部分が多い人や相手に興味関心を持たないままのコミュニケーションでやり過ごしている人は、場数を踏むことで”思い出していく”ので、日常で相手を観察することを習慣化していってみてください。 また、こうした分析を繰り返していくと、似たようなパターンの人に出会った時は、初めて会う人でも本心などを読み解きやすくなります。

■コミュニケーション能力は採用で最も重視される能力

経団連の「新卒採用に関するアンケート調査結果」(2018)によると、選考活動において重視する上位3つの能力は下記のようになっています。 1. コミュニケーション能力(82.4%) 2. 主体性(64.3%) 3. チャレンジ精神(48.9%) コミュニケーション能力は8割を超える企業が重視しており、業界・業種にかかわらず求められている能力だと言えます。また、16年連続1位となっており、時代が変わっても最も重視される能力であることがわかります。 コロナ禍によってオンラインでの面接が増えている 「2021年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート結果」によると、web面接を実施した企業は9割を超え、最終面接を含めてすべての選考活動においてwebを活用した企業は6割に上ります。 web面接を行うメリットとしては、96.4%の企業が遠隔地の学生とも面接ができ、母集団形成の拡大に繋がったと回答しました。一方で、対面の面接より評価が難しいと回答した企業は6割を超え、企業側も学生の情報を受信するのに苦戦していることが分かります。 具体的には、「細やかな表情等が把握しにくい」(83.7%)、「熱意等が伝わりにくい」(55.5%)との結果になっており、非言語コミュニケーションの側面がネックになっていることがわかります。 ただ、裏を返してみてみると、企業側は学生の学歴や経験だけでなく、「表情」や「熱意」といった点も評価要素として考慮していると言えます。web面接は便利な一面もあるため、今後も継続的に活用する企業が一定あることを想定すると、的確な言葉で伝える力はもちろん、表情や視線、聞く態度などの非言語コミュニケーション力を高めていくことが重要です。

ビジネスにおけるコミュニケーション能力の重要性

ビジネスにおいてコミュニケーション能力が必要とされるのは、「対個人の信頼構築」「組織の活性化」やが可能となるからです。

■対個人と信頼構築できる

仕事をしていると、1人でできる仕事はほとんどありません。商品を売るお客様や納品を行うメンバー、外部のパートナーなどあらゆるステイクホルダーが関わっています。 普段から関係者とのコミュニケーションを円滑に行うことで関係性を築き、信頼を得ることができます。信頼を得た結果、仕事自体が円滑に進みますし、商品を売ることやPJTの成功など、仕事の成果に繋がるのです。 言うまでもなく、あらゆる人との共存の中で活きるビジネスの世界においてはコミュニケーション能力は不可欠でしょう。

■組織の活性化に繋がる

組織とは、指示系統があり目的や目標に向かって活動している複数の人が集まった集団を指します。組織内でコミュニケーション能力を発揮できれば、組織の雰囲気が良くなったり、一人ひとりが生き生きといられる環境になったり、結果として個々人のパフォーマンス向上にも繋がるでしょう。 一方コミュニケーション不足といった状況に陥ると、集団から孤立してしまうリスクもあるため注意が必要です。またコミュニケーション不足に陥ると、組織のメンバーを傷つけたり、相手に不快な思いをさせてしまうこともあります。 つまり、コミュニケーションは個人がうまく人間関係を築いたりするだけでなく、周囲の人や大きな組織にさえも影響しうるのです。なかなか影響範囲は見えにくいものですが、コミュニケーション能力を鍛え、良い組織を築くことを心掛けましょう。

コミュニケーション能力が低い人・高い人の特徴

リンクアンドモチベーションでは、社会人に求められる基礎力を「人材要件フレーム」としてまとめています。 コミュニケーション能力は、「ポータブルスキル」と呼ばれる業界や職種、地域を超えて求められる基礎力のうちの1つです。特に「対人力」と呼ばれる力がコミュニケーション能力と同義となります。 対人力は、さらに8つの力に分解することができます。 主張力…周囲に対し、オープンに自分の意見を発信することができる力 否定力…相手の意見や行動に対して真摯に指摘や否定をすることができる力 説得力…相手に良く話し聞かせて納得、態度変容させることができる力 統率力…集団において面々に指示して仕事をさせることができる力 傾聴力…相手の立場に立ち、真剣に耳を傾けることができる力 受容力…相手に共感しながら話や要求を聞き入れることができる力 支援力…相手に配慮したり、サポートを行い援助することができる力 協調力…集団で力を合わせて事を成すことができる力 これらの力が高い場合は、コミュニケーション能力が高いと言えます。ぜひセルフチェックを行ってみてください。

■コミュニケーション能力が高い人の特徴

それでは、社会や企業が求める「コミュニケーション能力の高い人」とは具体的にどんな特徴のある人でしょうか。 ・考えをわかりやすく伝えることができる ・人のやる気やモチベーションを高めることができる ・相手の気持ちを汲み取ることができる ・聞き上手である ・相手に興味を持ち共感することができる ・的確な質問ができる ・話をうまくまとめることができる ・人に好感を与えることができる などが挙げられるでしょう。

■コミュニケーション能力が低い人の特徴

「コミュニケーション能力の低い人」の特徴としては以下のようなものが挙げられます。 ・人と話すのが苦手 ・「空気」を読むことが苦手 ・一方的に話したり場に沿わない発言をしてしまう ・少しでもネガティブなことを言われると怒り出す コミュニケーション能力が低い人は、コミュニケーションが苦手なために対人関係をうまく築けない場合がありますが、その背景には発達障害や不安障害、パーソナリティ障害など別の精神疾患が隠れていることも少なくありません。 例えば、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)などの発達障害を病気を持っている人はなかなかコミュニケーションを取れないこともあります。 そういった人ともうまくコミュニケーションを取れるよう工夫をしたり、互いに話し合って最適なコミュニケーションのやり方を考えていくのが良いでしょう。

社員のコミュニケーション能力診断の方法

「コミュニケーション能力診断テスト」とは、自分にコミュニケーション能力がどのくらい備わっているのかを診断できるテストです。診断テストを受ければ、コミュニケーションにおける自分の強みや弱点も見えてきます。 ここでは、コミュニケーション能力診断テストの質問内容をいくつかご紹介します。以下の項目に自信を持ってイエスと答えられますか?自分自身の行動を振り返って、考えてみてください。

職場のメンバーに、いつも大きな声できちんとあいさつしている

職場の人間関係は、上司と部下、そして同僚の間で構築されます。そのなかで、上司や部下といつも大きな声を出して、あいさつしていますか?

相手の話に、うなずいたり相づちを打つ

相手の話を聴いている間、うなずいたり相づちを打ったりしていますか? また、その頻度はどのくらいですか?

メールの文章は、「相手にちゃんと伝わるか?」を重視する

言語によるコミュニケーションのなかでも、メールによるコミュニケーションは一方的な伝達になりがちです。メールは、相手に伝わるように考えたうえで書いていますか?

今の部署で、プライベートなことを話し合えるスタッフが3割以上いる

自分自身のことを伝えたり、理解してもらうことは、コミュニケーションにおいて重要なポイントです。プライベートにまで踏み込んだ付き合いができていますか?

先輩や上司でも必要な際には本音で話すことが多い

職場で本音を話せるのは、個人や組織の中で円滑なコミュニケーションが日常化している証拠です。先輩や上司でも必要とあれば本音で話せますか? コミュニケーション能力を診断することは、自分自身を振り返るために役立ちます。コミュニケーション能力の無料診断テストもありますのでこれを機に受けてみるのも良いでしょう。

面接の際にコミュニケーション能力を確認する方法

企業の採用などにおいてもコミュニケーション能力を重視する企業は増えています。 実際に、日本経済団体連合会が2017年に実施した「新卒採用に関するアンケート調査結果」では、新卒採用の際に選考で重視する点として「コミュニケーション能力」が15年連続で1位となっています。 では、面接でコミュニケーション能力を見極めるにはどうすればいいのでしょうか?ここでは「受信」と「発信」の観点でお伝えします。

受信:発言を正しく理解できているか

学生の面接を行うとき、確認するべきなのは、「学生が相手(面接官)の発言を正しく理解できているか」という点です。 面接の多くは質疑応答の形で行われます。ディスカッションやディベートといった方法で学生を観察することもあるかもしれません。どの方式を取ったとしても学生が相手の話の要点を的確に理解しているかどうかは、コミュニケーションの基本となる重要なポイントです。 質問をして、相手の答えの内容を聞けば、質問を正しく受け取り答えられていたかは分かります。 この際気を付けなければならないのは、専門用語を使いすぎないことです。その業界を志している学生といえどもまだ働いたことのない学生であれば、その業界のことや専門用語を知らなくても無理はりません。 面接官が専門用語を交えて質問した内容に答えられなかった場合、コミュニケーション能力の問題ではなく単なる知識不足などの可能性もあるので、専門用語を使う際には説明をしたり、分かりやすく学生に伝えながら質問することを心掛けましょう。

発信:伝えたいことを適切に表現できているか

企業に自分のことをアピールする面接の場では、自分の意見を言葉やジェスチャー、表情を駆使して的確に相手に伝えられることは、当然求められるスキルです。 面接官は学生の話や何を伝えようとしているのかを意識的に傾聴し、話が構造的に組み立てられているか、適切に思いを表現できているかが判断できるコミュニケーション能力を備えておくことも大切でしょう。 この際には事実と感情を切り分けて話を聞くことも重要です。相手に適切に伝えられるよう自分自身の経験の事実と感情を切り分けて話せていたりする学生は、論理的に物事を捉え、相手に正確に伝えられるよう努めていると判断できるでしょう。

ビジネスにおけるコミュニケーション能力とは?

ビジネスにおいて私たちは、他者との交渉や協力・依頼など常に他者との関係性の中で業務を進めています。関係性を紡ぐために重要なのがコミュニケーションですが、押さえるべきポイントは何なのでしょうか?

■相手からの「信頼」を獲得する

関係社会において、コミュニケーションの複雑性を縮減させるのは「信頼」です。「信頼」があれば、コミュニケーションはスムーズに進んでいくことが多いですし、反対に一度信頼を失ってしまうとその後のコミュニケーションは2倍も3倍もの労力がかかってしまうものです。ここでは、信頼形成の3つのセオリーについてお伝えします。

①何屋なのかを明らかにすること

プロとして仕事を請け負う場合、多くの人は相手を何らかのカテゴリーに分けて分類し認識しようとします。人事を専門としているのか、システムを専門としているのか、はたまた経理なのか、マーケティングなのか…。あなたは、何屋さんとして自身を定義しているでしょうか? 医師や弁護士、会計士など資格が必要な職業の場合は非常にわかりやすいですし、人事のスペシャリスト、というのも認識されやすいです。一方で、仕事上の広がりを持たせることが困難な場合もあります。 いずれにせよ、自分は何屋として認識してもらいたいのか、言い換えると何屋として信頼形成を目指すのか、自分自身の立ち位置を明確にすることがプロのビジネスマンとしての第一歩となります。

②能力技術向上のための投資を惜しまないこと

人は、アマチュアの意見よりもプロフェッショナルの意見に信頼を置きます。そのため、プロのビジネスマンであり続けるためには、自分の能力を高め知識の幅を広げ続けることが重要です。 広くて深い信頼を獲得するために、自身の市場価値を客観的に把握し、時間とコストを惜しまず自らの能力向上に努めましょう。

③できない仕事を請け負わないこと

プロフェッショナルは、自分ができることの範囲を熟知したうえで、果たせない約束は結びません。なぜならば、「信頼」は、「約束」と「実行」の積み重ねの結果だからです。相手からもらった期待に対して自分の能力が見合っているのか、他の仕事との兼ね合いで納期通り納められるのか、を十分に検討し、請け負うかどうかを決定します。 もちろん、ほんの少しの冒険をすればできる可能性が高いものについては、失敗する可能性があることを断った上で、挑戦し自分の能力を上げていくということも必要です。ただし、ここでも適切に期待値を調整するコミュニケーション能力が求められます。 以上の3つは、プロフェッショナルとして信頼を獲得していく上で、基本的なセオリーです。簡単なようですが、実行し続けるのは難しいものです。定期的に振り返りを行い、自己を高め続けましょう。

■相手に「影響」を与える

ビジネスにおけるコミュニケーションのゴールは、相手に何かしらのアクションを起こしてもらうことです。そのためには、相手がアクションを起こすだけの影響を与える必要があります。関係社会の中でスムーズに仕事を進めるとするのであれば、「影響力の源泉」について知っておきたいものです。 では、影響力の源泉はどのようなファクターからなるのでしょうか?

①専門的信頼性

もし、あなたがゴルフのプロであれば、上司もゴルフのことに関してはあなたの意見やアドバイスに耳を傾けるでしょう。あなたが、ある分野に精通していれば、相手が目上の人であろうがなかろうが、あなたの技術に関して一目置き、指導を受けるのです。 これは、あなたが持っている当該分野の専門性によって影響力を発揮していることになります。つまり、仕事をしていく上では、誰にも負けない、希少性のある専門領域を持つことが影響力を増大させるポイントとなるのです。

②人間的信頼性

これは、あなたの外見や態度、志向などを含めた全体的な魅力のことを指します。 人は、外見的に素敵だと感じる人や、態度や姿勢が類似していると感じる相手を受け入れる傾向が強いと言われています。つまり、仲良くなったり、尊敬している相手からの影響を受けやすいということです。 一般的に、専門性のある人ほどとっつきにくいと思われがちですが、本人がこのことを自覚しておらず、残念ながら影響力を発揮できていないことがあります。専門家としての「高さ」と仲間としての「近さ」を同時に兼ね備えることが、影響力を発揮する上でのポイントとなります。

動機的信頼性

これはあなたが何のために相手に影響力を発揮しようとしているかという、動機に対する信頼性のことです。 部下に指示を与えるときに、部下の成長を願って指示を行うのか、嫌な気持ちにさせようと思って指示を与えるのかによって、当然ながら影響力の発揮度合いは違ってきます。人は、相手の言動の奥にある「動機」を以外にも敏感に察知しているのです。 あなたの動機が周囲から理解されるもの・応援されるものであるのか、私利私欲から来たものではないのか、一貫したものであるのかなどが、影響力のファクターです。 ビジネスにおいて影響力を発揮するならば、専門的信頼性、人間的信頼性、動機的信頼性のいずれも高めていく必要があります。知識や技術の専門性の高さに安住し、人間的魅力を磨くことを怠っていないか、動機が善なるものから来ているのかなどを自己点検していきましょう。

コミュニケーション能力を向上させるのに必要なスキル

■コミュニケーション能力を高めるための2つの力

先ほど、人材要件フレームの中で「ポータブルスキル」に触れました。「対人力」=コミュニケーション力とお伝えしましたが、コミュニケーション力を高めるためには物事をわかりやすく整理する「対課題力」、自分の感情をコントロールする「対自分力」のどちらも重要です。この3つを満遍なく鍛えることで、社会人としての基礎力が向上します。

■対課題力

対課題力とは、課題や仕事への処理対応能力のことです。対課題力も、対人力と同様、8つの力に分解することができます。 試行力…判断材料が少なくても試行錯誤することができる力 変革力…既成概念に囚われずに物事を新しく変えることができる力 機動力…状況に応じて素早く活動に移すことができる力 発想力…新しいアイディアを思いついたり、企画することができる力 計画力…ゴールに向けた緻密な計画を立案することができる力 推進力…物事を目的に向かって前に進めることができる力 確動力…やるべきことを確実かつ正確に実行することができる力 分析力…物事の原因や本質を深く掘り下げて考えることができる力 いわゆる頭の回転が速い人は、この対課題力が高い人と言えます。既成概念に囚われることなく新しいアイデアを着想することができたり、論理的に話を展開することができる人との対話はおもしろいものです。また、ゴールに向けて緻密に計画を立案することができる人に対しては安心感を抱き、物事を目的に向かって前に進めることができる人からはパワーをもらいます。普段から対課題力を磨き、コミュニケーションのレベルを向上させましょう。

■対自分力

対自分力とは、自身の行動や考え方をセルフコントロールする能力のことです。対自分力も、8つの力に分解することができます。 決断力…素早く、潔く意思決定を行うことができる力 曖昧力…あやふやな状況をそのまま受け入れることができる力 瞬発力…短期間で集中的にパワーを発揮することができる力 冒険力…危険を恐れず、難易度の高いことにも挑戦することができる力 忍耐力…苦しみや辛さ、怒りなどを前向きに捉え、打開する力 規律力…秩序やルールに則り整然と事を進めることができる力 持続力…ひとつのことを長期間、中断せずに継続することができる力 慎重力…注意深く落ち着いて行動することができる力 一見、コミュニケーションとはあまり関係が無いように思える対自分力ですが、コミュニケーション力と密接にかかわっています。例えば、決断力が高くその場で意思決定を行うことができる人や、反対に曖昧な状況でも受け入れることができる人とのコミュニケーションは、気持ち良いものです。また、困難な状況を前向きに捉え、打開しようとする姿勢も、相手を勇気づけます。対自分力は、非言語の態度や姿勢に繋がっている事が多いのです。 人とのやり取りの中で、想定していなかったようなことを言われたり、望ましくないような状況が起こることはよくあることです。そのような時に、どのような立ち居振る舞いをするのかがあなたの印象を決定づけます。対自分力を磨くことで、どんな状況でも相手を楽しませることのできるコミュニケーションマスターを目指しましょう。

仕事でコミュニケーション能力を向上させるポイント

■報連相

仕事において起こったことを伝えたり、相談したりする報連相。報連相において「事実」と「推測」を分けたり、報連相のタイミング、方法をコントロールする練習をすることでコミュニケーション能力を上げられます。 リモートワーク下においてはチャットやメールでのやりとりも多くなり、文章でいかに的確に伝えられるかはさらに重要なスキルとなりつつあります。

的確な報連相

まず、的確な報連相をするためには、報告・連絡・相談を使い分けることが必要です。 報告は、上司や先輩などから指示を受けた仕事の進捗状況や、結果などを知らせる事を言います。 つまり報告の目的は、自分やの現状を知らせることにあります。 それによって指示を出した上司や先輩などは、仕事の進捗状況や進んでいる方向を知る事ができます。 連絡の目的は、事実の周知です。 自分の意見や感情などを入れず、事実のみの(=情報)を複数の関係者に伝えます。 ミスやお休みの情報共有もこれに入ります。 相談は個人的に判断に迷ったり、決断できない際に、上司や周囲の関係者に意見を求める事です。 自分の発信が報告・連絡・相談のどれなのかを明確に示してコミュニケーションを取ることで、受信した人も自分がどう関わるのが良いか判断しやすくなり、うまくコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

最適なタイミング

報連相のタイミングも重要です。例えば、仕事のミスをしてしまったときに、上司にすぐ報告せずに3日後に報告するとどうでしょうか?適切な連携ができないだけでなく、最悪の場合ミスがクレームなどに繋がることもあるでしょう。 また、夜遅くなど明らかに相手が仕事をしていない時間帯に電話などで相談するのはどうでしょう。もちろんできるだけ早いほうがいいこともありますが、相手の心象を考えるとあえて次の日の朝に相談するなど、タイミングを考えることも大切でしょう。

適切な方法

最後に、報連相の方法についてです。MTG、電話、メールなど色々なコミュニケーション手段がありますが、これらをうまく使い分けることが大切です。 例えば電話の場合、とにかくすぐに報告すべき内容や、メールではうまく伝えられない内容を伝えるのに適していますが、相手に予定がある時間に行う場合は注意が必要です。 逆にメールであれば比較的いつ送っても相手に迷惑はかかりませんが、スピードが遅くなってしまうなど、デメリットもあります。 伝えたい・聞きたい内容やタイミングによって方法を切り分けることでコミュニケーション力が向上するでしょう。

■議事録

打ち合わせの内容などを記録し、色んな人に伝えるための議事録。やること自体はさほど難しくないように思え、議事録などは若手の最初の仕事として認識されがちですが、実はコミュニケーション能力を鍛えるのにとても良い仕事と言えます。 先ほどの報連相においても重要なことですが、情報や素材量が多くて、処理能力を超える「複雑性」が存在する場合、ものごとを分類したり、そこにラベルをつけたりすることで相手にわかりやすく伝えることができます。 「分類」「ラベリング」ができるかどうかで議事録の精度が変わります。仕事のできる人ほど、相手に分かりやすく伝えるための技術が高く、議事録の精度も高い傾向があるので練習してみるもの良いでしょう。 分類、ラベリングのステップは以下の通りです。 ①分類の目的を明確にする(目的の明確化) ②似たもの同士をグルーピングしながら軸を設定する(分類の軸選定) ③分類後はグループごとに特徴を表すネーミングを行う(ラベリング) ④各グループごとに「抜け・漏れ」がないか検証する(網羅性の検証) どんな分類の軸を採用するかによって、分類の仕方は大きく変わります。目的に合わせてうまく分類・ラベリングを行えるようになりましょう。

■プレゼンテーション

ビジネスにおいて良く活用されるプレゼンテーションを行うのも、コミュニケーション能力を鍛えるうえでは効果的でしょう。 プレゼンテーションなどの場合、普段のコミュニケーションとは違い、言葉だけでなく図形や表などを用いて説明したほうが相手に伝わりやすいです。 高いコミュニケーション能力は言葉だけに限りません。伝えるための資料を準備したり、表現方法に工夫を加えることは、相手にインパクトも与えられるでしょう。

■交渉・ヒアリング

ビジネスの場で相手の要求を汲み取れるかどうかも、非常に重要な問題です。商談先のニーズをヒアリングから察知し、それに対して提案・交渉することはビジネスの基本といえます。 相手の要求を読み取れない状態で提案をいくらしても、相手には伝わりません。相手の要求、気持ちを読み取れなければいかなるビジネスシーンであっても、その人はコミュニケ―ション能力が欠如した人という印象を与えてしまうでしょう。

コミュニケーション研修について

上記を実践することでコミュニケーション力の向上は見込めますが、定期的に研修などを通して体系的に学ぶことも効果的でしょう。 ここでは弊社リンクアンドモチベーションで実施しているコミュニケーション能力向上に重きを置いた研修をご紹介します。

■コミュニケーション研修の概要

この研修の目的は、相手を説得し、引き出したい意思決定を促進するためのコミュニケーションスキルを獲得することです。 研修を通して、以下の状態を実現します。 ・相手の選択基準を見抜き、MUST条件/WANT条件で整理することができる ・引き出したい意思決定に相手を導くためのコミュニケーション戦略を立てることができる ・コミュニケーション戦略を実行し、相手のMUST条件/WANT条件を入れ替えて引き出したい意思決定に導くことができる この状態を実現することができれば、商談やステイクホルダーとのコミュニケーションにおいて、臨む方向性を実現したり、顧客の信頼を得られるようになります。 研修においては大きく3つの技術を磨きます。

①相手の選択基準を「見抜く」技術

相手の選択基準を「見抜く」ためには、複数の相手の選択基準をMUST条件(絶対にはずせない条件)/WANT条件(できれば満たしたい条件)に分けて整理することが重要です。 例えば上図のようにa,bをMUSTの選択基準、c,d,e,fをWANTの選択基準に置いている人がいるとします。そこに対して案Ⅰ~案Ⅳがそれぞれの選択基準を満たせるかを示しています。 この場合、MUSTの選択基準a,bを満たせていない案は、どれだけWANT条件を満たせていてかつ魅力的だと自分が思っていたとしても、相手には刺さらないでしょう。 この選択基準を見極めることが、意思決定を導く前に重要なことです。

②引き出したい意思決定に「導く」技術:戦略

引き出したい意思決定(商品購入など)を促進するためには、相手の持つ選択基準に働きかけ、 相手のMust条件/Want条件を入れ替えるためのコミュニケーション戦略を練ることが必要です。 そのためには、主に「選択基準の重要度を変える」ことが重要です。以下の図のように、選択軸の重要度が変わるよう訴求したり、他にもっと重要なことがあることを伝えたりすることで、選択軸を変えるのです。 戦略をしっかり練ることで、具体的に何をどのように伝えられれば相手が意思決定してくれるかどうかが明確になるでしょう。

③引き出したい意思決定に「導く」技術:実行

最後に、相手のMUST条件/WANT条件を入れ替えていく手法として、弊社リンクアンドモチベーションでは、相手の思考を切り替えるコミュニケーションスキルである「スイッチ&フォーカス」を伝えています。 「スイッチ&フォーカス」には5種類あります。
タイムスイッチ
過去⇔現在⇔未来、短期⇔中期⇔長期など時間軸を変えることで選択軸を変える手法です。 短期で見ると効果的なことも、長期視点で見れば他の手法の方が良かったりするものです。長期的な関係性を構築するためにも時間軸を整理して伝えることが大切です。
ズームスイッチ
低い⇔高い、狭い⇔広いなど空間軸を入れ替える手法です。 誰もが物事を考えるうちに狭い視野に陥ってしまったりするものです。第3者の視点で視野を広げてあげたりすることで、本質的な問題解決に貢献することが大切です。
ゴールフォーカス
実現したいことにフォーカスし、選択軸を変える手法です。 手段の目的化、と良く言われるように、手段そのものが目的となってしまっては良くありません。本当に実現したいことは何か気づかせてあげることで共に目的を実現させましょう。
チャンスフォーカス・リスクフォーカス
得られるもの・失うものにフォーカスする手法です。 相手の思考の特性によっては、チャンスばかりに目を向けたり、逆にリスクばかりに目を向けてしまう人もいます。適切にチャンスとリスクの両方に目を向けさせて、目的を実現することが大切です。

■コミュニケーション研修導入のポイント

コミュニケーション研修を導入する際には、目的や対象に合わせたものを選ぶのが良いでしょう。 営業力向上なのか、管理職向け、メンバー向けなのかなどによって、学ぶべき内容や選ぶべき研修も変わるからです。 また、あくまで研修もコミュニケーション能力を向上するための1つの手法。研修で学んだことを普段の業務でも実践できるような体制や仕組みづくりなどを同時に行っていくことも、効果を最大化させるためには重要となるでしょう。

記事まとめ

コミュニケーション能力は、ソーシャルスキルの一つ。仕事をするだけでなく、社会生活を送るうえでも必要不可欠な能力でしょう。コミュニケーション能力を向上させるためのポイントをおさえて手段を講じれば、能力は高まります。 現在では研修だけでなく、コミュニケーション能力に関する書籍も多く出ています。あらゆる情報を得ながら効率よくコミュニケーション能力の開発や活用をしてみてはいかがでしょうか。

参考文献・サイト

7つの習慣 人格主義の回復(スティーブン・R.コヴィー) リンクアンドモチベーション ネゴシエーション(交渉)研修 ・経団連「2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」 ・経団連「2021年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート結果

著者プロフィール

  
湯浅 朱菜
【プロフィール】 採用を主な専門領域とし、 リンクアンドモチベーション入社後、ベンチャー企業向けのコンサルティングに従事。 現在は採用の専門性を活かし、大手企業の採用コンサルティング支援を行う。 IT系業界、小売業界など幅広い業界の企業様にコンサルティング経験を持つ。
 

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