メンタリングの効果的な方法は?メリットやコーチングとの違いも解説



メンタリング制度は人材育成方法の1つですが、定義や目的などが明確でないまま、導入されているケースが多いのが実態です。

今回はそんなメンタリングの定義や目的、メリット・デメリットなどについて説明します。

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メンタリングとは?

メンタリングの語源

メンタリングの語源は古代ギリシャの詩人であるホメロスが著述した叙事詩「オデュッセイア」にて、主人公オデュッセウスを助言して支える賢者「メントール」の名から採られたと言われています。

メンタリングの定義

メンタリングとは人材育成方法の一つで、メンターと呼ばれる育成者が、メンティーと呼ばれる被育成者と1対1の関係性を結び、対話によって、メンティーの成長を促す方法です。メンター制度は新入社員を対象に活用されることが多いですが、その際は先輩社員がメンターに、新入社員がメンティーに該当します。

ティーチングのように、答えを教えて成長を促す方法ではなく、対話によって自ら答えを導き出して貰う方法です。

メンタリングの目的は?

育成対象能力

まずは「メンタリングはどんな能力を開発するのに、有効なのか?」という問いお答えするため、人材育成において開発するべき「開発対象能力」の全体像を踏まえ、メンタリングにおける「開発対象能力」を説明します。

リンクアンドモチベーションでは、「開発対象能力」を後天獲得可能性によって下記のように5つに分類しています。後天獲得可能性とは後からでも獲得できる可能性の事を指します。

開発対象能力

ポテンシャル:ビジネスパーソンとしての基礎能力であり潜在能力
スタンス:物事に対する姿勢や指向や組織における役割期待
ポータブルスキル:業界・職種・地域(文化)を超えて求められる社会人基礎力
リテラシー:業界・業種・地域(文化)を超えて求められる外国語・ITなどの技術・能力
テクニカルスキル:業界・職種・地域(文化)に関する専門知識・技術

ポテンシャルは後から獲得することが非常に難しいため、基本的に採用段階で見定めることが有効です、そのため、育成においてはポテンシャル以外の4つを開発することが求められます。

またすべての土台には「エンゲージメント」が必要です。「エンゲージメント」とは、 「従業員の企業への愛着心」や「仕事に対する情熱」すなわち、会社や事業への共感・好感度合いであり、「企業と従業員の“関係”を示す指標」のことです。

どんなに能力があっても、会社に貢献する気持ちがなければ宝の持ち腐れですので、エンゲージメントを開発することも非常に大切です。

遠回りをしてしまいましたが、メンタリングの話に戻ります。メンタリングには人材開発においてテクニカルな部分だけを支援するのではなく、心理面や思考面もサポートして主体的な人材を育成するという狙いがあります。

つまり、「スタンス」と「エンゲージメント」を担保することがメンタリングの目的です。



メンタリングとコーチングの違いとは?

メンタリングとよく似た概念にコーチングがあります。コーチングは育成者が主体となって指導をする形式ではなく、一対一の対話を通して被育成者の気づきを促すという点で、メンタリングとよく似ています。では何が違うのでしょうか。

今回はその違いを三つの観点で説明します。

①目的

コーチングは達成したい業務目標に対する課題解決が一番の目的です。一方でメンタリングは業務に関わらず、人生相談・キャリア相談・職場での悩み相談といったように、業務には直接関係のない部分のケアまでを目的にすることが多いです。

②指導方法

1on1において、育成者は三つの役割をになっています。一つ目が業務をサポーターする「業務支援」、二つ目が能力を向上させる「内省支援」、三つ目が動機づける「精神支援」です。コーチングとメンタリングでは目的が異なるため、この三つの中で特に大事なことが異なります。コーチングでは「業務支援」と「内省支援」が特に大切で、メンタリングでは「精神支援」が特に大切です。



③メンターの選出基準

コーチングは業務支援・内省支援が中心であるため、業務経験のある直属上司が実施することが多いです。一方でメンタリングは精神支援が中心であるため、業務経験は関係なく、距離が近く何でも話やすい他部署の先輩が実施することが多いです。

メンタリングを行うメリットは?

①メンティーのスタンス変革とエンゲージメントの向上

メンタリング制度では、キャリアについての相談や仕事における悩み相談が発生することが多いです。そのため、自身の仕事に対する向き合い方を考える機会になったり、悩みが解消して集中力向上に繋がるなど、スタンス変革に繋がりやすいです。

またエンゲージメント向上にも繋がります。エンゲージメントの構成要素の一つに「人的魅力」があります。素敵な人と一緒に働きたいと思う動機です。メンタリングでは仕事に関係のないプライベートの部分も含めて、深くまで相互理解が進むため、「人的魅力」を感じやすく、エンゲージメント向上に繋がりやすいです。

②メンティーのメンタルケア

メンタリングを実施することで、メンティーの仕事における問題(心理面・健康面など)を早期発見でき、異常がありそうな時は早期にサポートができます。

近年3年3割問題など離職率が高いことが社会課題になっています。実際平成29年に厚生労働省が調査した結果によると、仕事や職業生活に関することが強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は 58.0%でした。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h30-46-50_houdou.pdf

また別の調査結果によると、うつ病の出現率が日本は米国の3倍であり、そのうち83%が「仕事上のストレス」が原因になっています。米国は67%が「自分の将来に対する不安」であることを考えると、日本人が仕事に対してストレスを感じる傾向が強い様です。

こんな日本だからこそ、「精神支援」に役立つメンタリングは非常に有効です。特に若手社員のうちは右も左も分からす、職場における信頼関係構築もまだまだですので、メンタリングという形で形式立ててメンタルケアを行って上げることが重要でしょう。

③主体性の獲得

メンタリングは、一方的に教えるティーチングとは異なり、メンティーが自分で考えるためのサポーターをします。

そのため、メンティーに答え探しではなく答え創りの習慣が身に付きます。

④メンターの成長

メンタリング制度はメンティーだけでなくメンターにもメリットがあります。メンターを実施することで、ヒアリング力や信頼関係構築力といった、社会人として必要なスキルの強化に繋がります。

メンタリング制度をメンターの成長のためにも活用し、次期リーダー候補などをアサインするのも一手でしょう。

メンタリングを行うデメリットは?

①メンターの工数

精神支援をする上では、「何でも相談できる」という関係性創りが大切です。

一方でメンタリング制度には明確な目標やガイドラインがないことが多く、関係性構築のために時間を割き過ぎたり、メンターから相談が過剰に来てしまい業務に支障をきたすケースがあります。

そのため、メンターの業務量を調整したり、相談は基本MTGの中でのみというような一定のガイドラインを設けることが大切です。

②効果測定の困難さ

メンタリングは精神支援を中心に行いますが、精神状態というものは図ることが難しく、効果検証が困難です。

そのため、組織診断サーベイのスコアや離職率といった、何らかの数字をKPIに置きながら、推進することが大切です。

③属人性の高さ

業務における課題であればメンティーは一定予測が付きやすく、一定パターン化されます。一方で精神の課題に関しては予測が付きづらく、人によって千差万別です。結果的に、精神支援の方法がメンター間でばらつき、効果もばらついてしまうリスクがあります。

そのため、導入時に一定のフレームを教えてやり方を均質化したり、振り返りシートを統一するなど一定のガイドラインを設けることが大切です。

メンタリングに必要な能力

必要な能力は色々ありますが、その中でも特に大切な能力を三つ紹介します。そもそもメンターが行う流れはを凄く簡単に表すと、「課題を机に上げて貰う関係性を作る」→「課題を理解する」→「課題を解決する」という形です。そのため、各ステップごとに特に必要な力を紹介します。

①信頼関係構築力

「精神支援」では「この人であれば信頼して何でも話せるな」と感じて貰わない限り、始めりません。そのため、自己開示をする、相手との共感の接点を探るなど、信頼関係を構築するスキルが求められます。

②受信力

信頼関係を構築した後は「精神支援」をする上では「相手の感情面の理解」が大切です。「業務支援」などでは、自身が持っている知識やナレッジを伝えるだけで良いですが、「精神支援」においては、まずは相手の感情面を理解し、相手の悩み事を適切に受信する必要が あります。

感情面の悩みは千差万別ですので、相手の事を受信せず、自分の経験から勝手に推測をすることは非常に危ないです。

③発信力

相手の悩み事を適切に認識した後は、悩み事を解決する必要があります。その際「発信力」が求められます。何を伝える必要があるか、どんな風に伝えると伝わるか、を考え、相手に伝わる「発信」は求められます。

メンタリングのやり方・導入の流れ

①目的の決定

まずメンタリング制度導入の目的を定めます。離職率の改善なのか、エンゲージメント強化なのか、人を育てる風土の醸成なのか、会社によってメンタリング制度導入の目的は異なるので、「なぜメンタリング制度を導入するのか?」「どんな成果を生み出したいのか?」を明確にしましょう。

②ガイドラインの設定

続いてガイドラインを設定します。面談頻度(月に何回やるのか?など)や形式(対面での面談なのか?リモート面談なのか?など)、使用ツール(面談シートを活用するのか?ITシステムを活用するのか?)といったように、変数は色々ありますので、目的を達成するために必要なガイドラインを定めます。

③メンティーの選定

新入社員なのか、1~3年目の全社員なのか、というようにメンティーを選出します。

④メンターの選定

他部署の3年目社員なのか、同じ部署の5年目社員なのか、というようにメンターを選出します。

⑤メンター・メンティーへの概要説明

メンター・メンティーに対して、メンタリング制度の目的やガイドラインを説明します。この際、メンタリング制度を運用する上で持っておくべき心構えの説明や、スキル獲得の支援などが必要な場合が多いです。

例えば「メンティーはメンターの時間を貰っている自覚をもって、むやみやたらに相談しないようにしよう」みたいな心構えを伝える必要があるかもしれませんし、メンターに対しては「精神支援」をするためのスキルを獲得して貰う研修を実施する必要があるかも知れません。

⑥運用を通じてのブラッシュアップ

メンタリング制度は実際に運用していく中で、色々な課題点も見つかるかと思いますので、その際はブラッシュアップが求められます。

記事まとめ

以上、メンタリングの定義やメリット・デメリットについて振り返ってきました。

メンタリングは仕事のストレスを感じやすい傾向にある日本人にとっては非常に重要な概念です。

とはいえ、まだまだ精神支援の方法などは確立されておらず、どの会社も手探り状態で実施しているのが実態です。ですので今回の記事が少しでも皆さんのお役に立ててれば光栄です。

著者プロフィール

  

織田 桂伍

【プロフィール】
リンクアンドモチベーション入社。ベンチャー企業向けコンサルティング部隊で、新規事業の営業とコンサルを経験したのち、現在は大手企業向けコンサルティング部隊にて、人事制度コンサルや研修など人材開発・組織開発サーベスの 営業をしている。

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