セクショナリズムとは?原因や生産性を高める対策について解説



セクショナリズムとは、従業員が自分のチームや部署の利益や効率を優先し、他の部署に対して非協力的になっている状態のことです。放置しておけば組織に様々な弊害をもたらし、結果として事業にまで影響をもたらすことも少なくありません。

ここでは、セクショナリズムが起こる原因や組織の特徴、改善方法についてお伝えします。

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セクショナリズムとは?

■セクショナリズムとは

セクショナリズムとは、従業員が自分のチームや部署の利益や効率を優先し、他の部署に対して非協力的になっている状態のことです。英語で表記するとsectionalismであり、日本語では「縄張り主義」や「派閥主義」と訳されます。

リンクアンドモチベーションでは企業の成長段階を3つに分けており、「拡大期」→「多角期」→「再生期」の順に変化していくという考え方をしていますが、セクショナリズムはそのうち「再生期」に起きやすい事象です。

各フェーズごとに、成功パターンを一気に推し進める「拡大期」、安定成長のため事業の複線化を図る「多角期」、そして新たな価値創出を模索する「再生期」という特徴があり、各成長段階で事業戦略やそれに伴う組織戦略が変わります。

「再生期」には、多角期で様々な事業を試し、失敗も成功も出てくる中で、自社として本当に届ける価値は何か、そのために何を取捨選択するのかを考えます。

事業が安定化してきた大企業、中小企業、メガベンチャー企業などが再生期に当てはまることが多いでしょう。再生期の企業では事業部の分化などにより、セクショナリズムが起こりやすくなります。

しかし拡大期・多角期の企業もいずれは再生期のフェーズが訪れます。再生期に当てはまる企業や事業部はもちろん、そうでない場合も予防していくことが大事です。

■セクショナリズムの類義語、対義語

セクショナリズムの類義語や対義語は特にありませんが、俗にいう「派閥争い」はセクショナリズムの「派閥主義」の思考から派生したものです。

また、対義語として用いられるのは「連携」「協力」などの言葉があります。 組織全体の利益を追求するには、部署やチームが協力しあう状態が理想です。情報の可視化や共有を通じてセクショナリズムを防ぐことで、協力体制を浸透させることができるでしょう。

セクショナリズムの種類

組織に不利益をもたらすセクショナリズムは、大きくわけて2つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

■無関心型・非協力型セクショナリズム

社内の他部署に興味がない

自分たちが所属する部署・部門の中で起きた出来事にのみ意識を向け、例え同じ社内でも他分野の部署には興味を持ちません。

例えば、他部署の構成員や事業の内容、目標や成果の状況を認知せず、変化が起きても関心がないという特徴があります。

協力しない

企業内の異なるセクションの間で連携が必要な場合に協力しない、他分野に興味がないために危機的な状況にあることに気が付かないといった特徴があります。

例えば、他部署から助けが必要であるという情報を見ても無視をする、情報提供に応じないなどの傾向があります。

自分たちさえ良ければいいという意識と余計な負担や責任を負いたくないという意識が強いため、接触を避けて傍観者として振る舞います。

■批判型・排他型セクショナリズム

「無関心型/非協力型」とは異なり、他部署に関心はあるが敵対心が強く批判的であることが特徴です。

例えば、「あの部署に迷惑を掛けられている」といった被害者意識があったり、相手を誹謗中傷し、その情報を組織の内外に広げることで不利益を与えようとするなどの特徴が見られます。

企業組織から排除しようとする

いわゆる「縄張り争い」「派閥争い」が過剰になり、敵と見なした部署や所属メンバーを企業組織から排除しようとします。

両方とも同じセクショナリズムですが、大きな違いとして、被害の大きさがあるでしょう。無関心や非協力ならばまだしも、相手を批判し、排他する場合に被害を被る人や影響の大きさは計り知れないでしょう。

こういった問題が発生する前に予防することが重要ですが、すでに起きている場合には、見逃すのではなく1つ1つ対処していくことが重要です。

セクショナリズムが組織にもたらす弊害とは

セクショナリズムが組織に悪影響をもたらすことは明白ですが、それぞれの部署で個別最適や内部指向、自己組織防衛といった意識が強化された先には、組織や事業に大きな弊害をもたらします。ここではセクショナリズムが具体的にどのような不利益をもたらすか、お伝えします。

■全社視点の欠落

多角期・再生期の組織では、それぞれの業務ユニットで日々の業務に追われ、「目的意識」や「連携意識」がどんどん薄れていきます。

自部門の利益や自部門の防衛を最優先し、全社視点の欠落が様々な障害を招きます。

連携不足で終わればまだ良いものの、「従業員」と「全社」の心理的対立が起こったり、最悪の場合、自部署の自己防衛に走るばかり不祥事を起こしてしまうなどのケースもあり得るでしょう。

■顧客視点の欠落

セクショナリズムの弊害は顧客にまで及びます。個別最適、内部指向が強まり、本来最優先で考えなければならない顧客の存在が後回しになってしまいます。

内部組織の運営も、企業戦略も、顧客優先ではなく内部優先になり、現場で顧客の話が聞かれなくなっていきます。当然ながら、顧客からの支持も弱まり、利益を喪失することになるでしょう。

■従業員のモチベーション低下

上記のような障害が起こることにより、従業員のモチベーションにも大きく影響します。

全社視点の欠落による「自分」と「全社」の対立化が進めば、自然と会社に対するエンゲージメントは下がっていきます。

また、顧客視点の欠落により顧客からの支持が弱まば、顧客接点を担う現場従業員のモチベーションが下がることはもちろん、利益を出せなくなることにより他の従業員のモチベーションが下がることも起こり得るでしょう。

組織力を下げるセクショナリズムの原因

これまではセクショナリズムがもたらす弊害についてお伝えしてきました。ではセクショナリズムはなぜ起こるのでしょうか?ここからは具体的な原因をお伝えします。

■理由①部署内の仲間意識や他部署への敵対意識

冒頭お伝えしたように、セクショナリズムは企業の「再生期」のフェーズで起こります。

「再生期」は、多角期で様々な事業を試し失敗も成功も出てくる中で、自社として本当に届ける価値は何か、そのために何を取捨選択するのかを考える時期です。組織のなかにいくつか事業部が存在していたり、事業ごとに違う目標を担っていることも多いでしょう。

同じ企業とはいえども、違う事業、違う目標を追っていれば、競争意識や敵対意識が生まれることは自然な流れです。セクショナリズムによる過剰な仲間意識や縄張り意識が他部署を排除しようとする動きとなり、さらに視野が狭まった社員はチームよりも個人の利益を優先するようになってしまうのです。

■理由②人事異動が少ない

人事異動がなかなか行われない会社に勤めていると、他部署との交流がなく、社内の交友関係が狭くなり情報交換も少なくなりがちです。

結果として、他部署でどのような仕事が行われているのかがわからず、視野が狭くなってしまうこともあるでしょう。

専門性の高い仕事ではなかなか異動する機会は無いかもしれませんが、セクショナリズムの発生を防止するためには、人事異動や部署間の交流を増やすことで人材の流動化を図ることも大切です。

■理由③評価制度の影響

近年、年功序列から成果主義に移行する企業が増えていますが、それに伴い、人事制度や相対評価制度を導入する企業もあります。

相対評価制度には実力がある従業員を適切に評価できる、評価がつけやすいなどのメリットはあるものの、組織や人の対立をあおる側面もあります。

評価の低い人間が多くなるほど自分の評価があがりやすくなるので、ノウハウや技術を独占し、コミュニケーションを取らない社員が増加する可能性があるのです。

また、他部署との比較でインセンティブを出すことで競争意識が強まり、結果として敵対意識に繋がることもあります。 もちろんメリットもある制度ですので、デメリットになり得る側面を把握した上で評価制度を策定するようにしましょう。

セクショナリズムの改善方法

セクショナリズム改善のポイントは、人材の流動化を促すことです。具体的にどのような改善方法があるかお伝えします。

■改善方法①積極的な配置転換を行う

人事異動が少ない部署でセクショナリズムが生まれやすいのは、他部署の内情を知らず、偏見を持ったまま仕事を進めているのが要因だと考えられます。

ジョブローテーションを取り入れ部門にわたる人事異動を定期的に行うなど、積極的な配置転換を行うことで開放的な組織づくりを行うことができるでしょう。

また、人事異動となると大規模な組織体制の変更となってしまう場合には社内留学などの短期的な他部署での業務も効果的です。実際に他部署の業務や組織を知ることで、協力意識が生まれたり、視野が広がるでしょう。

■改善方法②他部署との情報共有や交流の場をつくる

部署の垣根を超えたミーティングや、組織横断的なプロジェクト、研修、社内サークルなどの機会を設けましょう。定期的に情報共有や交流ができる場を設けることでセクショナリズムを改善する手助けになります。

普段は関りが無くても、業務内で機会があれば、成功事例や失敗事例などが自然と共有されることもあるでしょう。部門ごとのナレッジを共有することで、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。

また、他の部署の仕事や人についての理解が深まり、協力して業務を行うカルチャーが生まれるでしょう。

■改善方法③全社の目標や理念を共有する

全社総会などを通じて、企業の中長期的な目標を社員全員に落とし込むこともセクショナリズムの改善につながります。

理念に立ち返ったり、中長期的な目標の周知を行うことによって、自部署は企業の中でどんな役割を担っているのか、どう他部署と連携することで企業の方針を実現することができるのか考えるきっかけとなり、企業全体としての視点を持つことにつながっていくでしょう。

セクショナリズムを解決した事例

弊社リンクアンドモチベーションが組織変革に携わり解決した事例として、1968年創業、全国に約270店舗を展開するタビオ株式会社のケースをご紹介します。

■タビオ社の当時の状況

当時タビオ社は創業から50年を迎え、これまでの成功体験から脱却すべき、再生モードのフェーズにありました。そしてやはり社内ではセクショナリズムが起こっていました。

代表取締役社長の越智氏が語るには、本来であれば密接に連携しなければならないはずである2つの部門が、それぞれの立場でそれぞれに都合のよい主張を繰り返すだけで、責任を擦り付け合う場面が日常的に繰り返されていたそうです。

「そんな話は聞いていなかった」「こんなんじゃやってられない」と、事あるごとにまるで言い争いみたいになっていたのですが、そうした挙句、最後には話し合いすらできないような雰囲気になってしまっていたのです。

■解決に向けた施策

タビオ社は弊社リンクアンドモチベーションとともに、セクショナリズムを解決へ向けて「全社へのビジョン共有」と「新体制の構築」を行いました。それぞれ何を行ったのか、具体的にお伝えします。

全社へのビジョン共有

まずは経営陣を対象に「未来創造プロジェクト」という場を設け、改めて自分たちはどんな組織が作りたいのかということをテーマに議論を行いました。

そのうえで、全社員を一気に集め、組織ビジョンに込めた思いや、なぜこの言葉に至ったのかを、丁寧に説明をする場を半日設けました。

いきなり組織ビジョンを伝えるのではなく、従業員にも考えてもらう場を設けることで、「会社は社長が作るものではなく、皆で作る作品なんだ」ということを改めて共有し合いました。「評論家になるのではなくて、もう1回向き合ってやろう」と呼びかけて社員を集めたのがこのイベントでした。

実際には、まだ現場ではほとんど何も変化はなかったものの、ようやく何か変わりそうだなという期待感の醸成ができたそうです。

新体制の構築

次に、抜本的に組織図を変更し「新体制の構築」を行い、「階層を削減する」「機能を集約する」、この2つを行いました。具体的には部門の統廃合を大胆に行い階層を減らすことで機能を集約化しました。

ある組織では、営業部ということをやめて、ブランド横断で全スタッフをサポートする役割としてサポーターという名前に変えて統一しました。

タビオも靴下屋も全部見るという人たちを3人ぐらい設定した結果、本部からいろんなエリアに足を通わせるようになり、地方と本部の連携を図ることができ、結果的に離職率も激減しました。

また体制をシンプルに再構築することでスピーディーに経営に情報が上がるようになったそうです。

■改善のポイント

タビオ社の事例でも分かるように、従業員1人ひとりの意識を変えていくためには、上層部が「変えよう」という意思を強く持ち、時には大胆に施策を実行することが重要です。

また、変えようとしている意思が伝わり、結果として従業員や組織全体に広がっていくこともあるといえるでしょう。

※参考:組織を襲う病に打ち勝ち、成長を遂げた組織改革 全国に約270店舗を展開するタビオ株式会社

記事まとめ

セクショナリズムは事業や組織にさまざまな問題を発生させます。その対策と予防について、しっかり学んでおくことが必要です。

解決に向けて重要なのは、簡単な方法でも良いので人材の流動化を図ることです。少しずつ行うことで従業員1人ひとりの意識変革に繋がり、結果として組織風土の改善に繋がるでしょう。

参考書籍

小笹 芳央『モチベーション・ドリブン 働き方改革で組織が壊れる前に』

著者プロフィール

  

湯浅 朱菜

【プロフィール】
採用を主な専門領域とし、 リンクアンドモチベーション入社後、ベンチャー企業向けのコンサルティングに従事。 現在は採用の専門性を活かし、大手企業の採用コンサルティング支援を行う。 IT系業界、小売業界など幅広い業界の企業様にコンサルティング経験を持つ。

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