外発的動機付けとは?
内発的動機付けと比べたメリットを解説




そもそも動機付けとは、何かの行動を起こし、目標に向かって維持・調整する過程や機能のことを指します。英語の「motivation」の日本語訳にあたり、モチベーションという言葉で良く使われます。今回は、この動機付けを「外発的動機付け」と「内発的動機づけ」に分けて紹介します。


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外発的動機付けとは?

■外発的動機付けとは?

外発的動機付けとは「行為そのものではなく、外部からもたらされるものを目標として、その目標を実現するために行為を行おうとすること」です。義務や賞罰、強制などによってもたらされる動機付けであり、何らかの目的を達成するために用いられることが多いです。

ビジネスにおける外発的動機付けは、上司が部下に何らかの仕事を行なって欲しいとき、もしくは、少し背伸びをした仕事を与え成長して欲しいときに、提示するケースが多いと思います。

一方で、一般的に外発的動機付けの効果は一時的なものと言われており、長期間仕事をしてもらう、もしくは、成長してもらう際には、必ずしも有用ではないという見解もあります。

外発的動機付けによってモチベーションが高まっている状態を長期化させるためには、行動を通じて興味・関心が醸成され、内発的動機付けへと変化していくことがポイントだと言われています。


■外発的動機付けの具体例

外発的動機付けの具体例として最もイメージしやすいものが金銭報酬です。

目標を達成したら給与が上がる、インセンティブをもらえるなどの条件の提示が外発的動機付けを高める手法としては分かりやすいと思いますし、金銭報酬が増えることは誰にとっても喜ばしいことでもあるため、万人に当てはまる外発的動機付けと言えると思います。

その他にも、外発的動機付けを高める手法として感情報酬を紹介します。上述のような金銭報酬は万人にとって外発的動機付けの手法となりうると紹介しましたが、時には、1万円のインセンティブをもらうことよりも、心からの「ありがとう」を言われる方が嬉しいという場合もあるかと思います。

このような感謝をもらえる、といったような感情的な報酬も外発的動機付けの手法となりえます。

一方で、上述した2点のような行動をしたら何かを得られるという「正」の方向での外発的動機付けの手法以外の、行動をしなければ罰がある、というような「負」の方向の外発的動機付けもあります。

行動経済学における損失回避理論においても、人は何かを「得られる」ことよりも「損をしない」ことを選ぶ傾向があると言われています。これらの特徴をうまく活かして、外発的動機付けを行うことがポイントです。

外発的動機付けのメリット・デメリット

外発的動機付けのメリットとデメリットを紹介します。

■外発的動機付けのメリット

外発的動機付けのメリットは、内発的動機付け(後述)と比較しても、「報酬を与える」「罰を与える」など実施方法がいたってシンプルであることが挙げられます。

レベルは様々あれど、報酬を貰いたくない、罰を受けたいという人は通常存在しません。万人にとって、シンプルな方法で動機付けできることが、外発的動機付けのメリットとして存在します。

また、短時間で効果が表れやすいことも、外発的動機付けのメリットとして挙げることができます。自分にとってのメリット、デメリットが分かりやすいため、動機付けの誘因の提示から行動までの期間が短くなることが特徴です。短期的に大きな壁を乗り越えようとする際に、外発的動機付けを活用するとうまくいくケースも多くなるでしょう。

例えば、どうしても短納期で納めなければならない案件などが生じた際に「無事に納品できればインセンティブを渡します」といったような外発的動機付けを行うことで、短期間で成果をあげさせることができるケースも多いかと思います。

このように、短期的に集中して成果を上げるということに関しては、外発的動機付けがうまく機能する場合が多いといえます。


■外発的動機付けのデメリット

外発的動機付けのデメリットとして以下3つの点を紹介します。

1つ目は、コストがかかることが挙げられます。具体例の部分で金銭報酬の例を挙げましたが、会社としても無限にインセンティブを出せるわけではありません。短期的な動機付けに寄与したとしても、インセンティブを与え続けることは難しいでしょう。

2つ目は、慣れによって、効果が長続きしなくなることが挙げられます。得られるものが常態化してしまうと、動機付けの効果が弱まってしまいます。

3つ目は、求めた基準以上の結果を得られにくいことが挙げられます。外発的動機付けによって動機付けされると、目標を達成し何かしらの報酬を得ることが目的となるため、目標を超えて頑張るメリットが本人にとってはなくなってしまいます。期待以上の成果を求める場合には、外発的動機付けでは難しい場合が多いです。

以上のように、外発的動機付けのみに頼っていると、中長期的には企業の疲弊や個人のモチベーションの低下、企業・個人の成長の頭打ちが起こる可能性があります。企業や個人のパフォーマンスを高めていくためには、外発的動機付けのみならず、後述する内発的動機付けもうまく組み合わせながら動機付けを行なっていくことがポイントとなります。

内発的動機付けとは?

■内発的動機付けとは?

外発的動機付けとともによく考えられる概念として、内発的動機付けがあります。

外発的動機付けが、行動によって得られるものに起因することに対して、内発的動機付けは好奇心や関心など、自分自身の内なる欲求に起因するものを指します。仕事に対する興味や関心、そこから生まれるやりがいや達成感などが内発的動機付けに当てはまります。

内発的動機付けは外発的動機付けと異なり、前提条件として、対象に対する強い関心・好奇心が必要となります。分かりやすい例として、ゲームが挙げられます。

e-sportsは例外として、普段ゲームをしても、何かがもらえるわけではないですよね。ただ、ゲームに興じるのは、ゲームが楽しいからに他ならないからだと思います。

また、ゲームに熱中するのはこのような好奇心だけではなく、クリアするまでの過程におけるステップアップ感を楽しむ、という要素もあると思います。条件をクリアする有能感などが得られることなども、内発的動機付けにおいては重要なポイントです。


■内発的動機付けの具体例

例としては、「(仕事としてお金がもらえるから)ゲームソフトを作りたい」と思うことに関しては外発的動機付けになるのに対して、「プログラミングが楽しいからゲームソフトを作りたい」「子供が熱中するようなゲームソフトを作りたい」という想いそのものが、内発的動機付けの要素となります。

内発的動機付けの要素は過去の心理学者の研究により、「感性動機」「好奇動機」「活動性動機・操作動機」「認知動機」の4つが挙げられています。

感性動機:ある一定の刺激を求める
好奇動機:既知のことや全く未知のことではなく、適度に新しい事を知ることを求める
活動性動機・操作動機:筋肉器官を使用してその能力を高めることを求める
認知動機:入ってくる情報をきれいに整理することを求める

内発的動機付けのメリット・デメリット

内発的動機付けのメリットとデメリットを紹介します。

■内発的動機付けのメリット

内発的動機付けのメリットとしては、行動自体が目的となるため、高い集中力が発揮されやすいことにあります。行動することによって欲求が満たされるため、進んで行動し、学び、最適化しようとします。結果として、質の高い行動を自ら進んで長く続けられることができます。

それによって、目標を達成したとしても、自ら次の目標を掲げることができる、元々期待していた以上の成果が出るといったことが起こります。外発的動機付けされた物事よりも、本人の成長やアウトプットのクオリティが高まるといったことがメリットとなります。

その他にも、創造力が高まるといったメリットもあります。行動自体が目的となるため、行動を自主的に考えたり、工夫したりするようになります。その過程で創造力が磨かれるという点はメリットと言うことができます。


■内発的動機付けのデメリット

内発的動機付けのデメリットとしては下記2点を紹介します。

1つ目は、動機づけ方法が明確ではないため、短期成果に繋がりにくいということです。行動自体が目的となるためには、そもそもの関心や好奇心、もしくは、ちょっとした成功体験などが必要になります。ただ、関心や好奇心を持つ方法が明確ではないこと、成功体験を積み、結果的に行動に対して自分自身で何らかの意味づけをするまでには時間がかかる場合が多いです。

そのため、短期的な成果のための動機づけ手法としては、内発的動機付けよりも外発的動機付けのほうが向いていると言うことができます。

2つ目は、全ての人にとって共通方法で動機づけができないということです。外発的動機付けの章で、万人にとってインセンティブがもらえること、誰かから褒められることは動機づけの要素となりうると説明しましたが、関心や好奇心の持ち方に関しては千差万別です。

各個人のタイプを把握し、個別にカスタマイズしたアプローチを採ることが求められます。各個人のタイプを把握することもテクニックが要るため、外発的動機付けと比べた際の難易度は高いと言えます。

外発的動機付けを内発的動機付けにする方法

上記のように、動機づけまでの期間やメリット・デメリットを踏まえた上で、動機づけ手法に関しては検討する必要がありますが、一般的には外発的動機付けよりも内発的動機付けのほうがパフォーマンスが高まりやすいため、好まれる傾向があります。

この章では、外発的動機付けから内発的動機付けへと変化させるためのポイントを紹介します。

■内発的動機付けを生む方法

内発的動機付けを生む方法は千差万別であると記載しましたが、ポイントとしては、まず外発的動機付けによって物事に取り組ませ、適切にフィードバックすることにあります。

例えば、最初は上司に言われて嫌々取り組んでいた仕事であっても、実際に取り組む過程で仕事自体の面白さを発見し、内発的動機付けが成されることがあります。

また、適切に結果に対して褒め、小さな成功体験を積ませることによって、仕事に対して楽しいという感覚を持つこともあります。もしくは、今まで学んできた内容と絡めて進め方をフィードバックすることで、認知動機を刺激することもできると思います。

ビジネスにおいては、外発的動機付けが内発的動機付けを生み出すきっかけとして作用することがある点を意識して、フィードバックとセットで様々なことに取り組ませる機会を提供することがポイントとなります。

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動機付けが上手く作用していない場合の原因と対処方法

■動機付けが上手く作用していない原因

動機付けがうまく作用していない要因として、下記3点を紹介します。

1つ目は、動機付けされる事柄に慣れてしまっていることが挙げられます。

これは特に外発的動機付けにおいて起こりやすい問題です。得られるものに慣れてしまうと、自分にとって常態化し、動機づけのための刺激が刺激として作用しなくなることがあります。

2つ目は、自分自身のタイプ(欲求)と動機付け手法が一致していないことが挙げられます。

例えば、仕事を「0から1を生み出す仕事」と「1から100に広げる仕事」に分類した際に、人によってどちらの仕事が魅力に感じるかは異なると思います。

「1から100に広げる仕事」を好む人に、新商品の開発や新規顧客の開拓などの「0から1を生み出す仕事」をさせた場合、行動自体が目的化するような内発的動機付けはなされないことが多いと思います。

3つ目は、内発的動機付けされている事柄が、外発的動機付けに書き換えられてしまう事が挙げられます。

要は、好きだからやっていることが、報酬をもらえるからやっていることに変わってしまうということです。これは、心理学でアンダーマイニング効果と呼ばれています。この状態が続くと、最悪の場合、報酬が貰えなくなるとやらなくなる、といったようなことが起こりえます。

以上のように動機付けが上手く作用しない場合には、外発的動機付けにおいては刺激に慣れてしまっていること、内発的動機付けにおいては、本人の欲求にと異なる行動をさせてしまっていること、内発的動機付けされている事柄に外発的動機付けの刺激を与えてしまっていることがないかどうかを確認してみることがポイントです。


■動機付けが上手く作用していない場合の対処方法

動機付けが上手く作用していない場合の対処方法を、上記で挙げた3点に関してそれぞれ紹介します。

1つ目の動機付けされている事柄に慣れてしまっている場合に関しては、刺激の強度を変えるか刺激の種類を変えることが求められます。外発的動機付けによってモチベーションを高めようとする場合には、本人にとってより強力だと感じられるインセンティブを提示することで、もう一度動機付けを図ることができる可能性が高まります。

もう一つの手法としては、意味づけによって、本人の好奇心や関心を刺激することが挙げられます。

対話によって、実際に行動する中でどのようなことが得られたのか、今後どのようなことに活かせそうか、時間軸・空間軸を広げてあげることで、内発的動機付けへと変化させることができる可能性もあります。

2つ目の自分自身のタイプ(欲求)と動機付け手法が一致していない場合に関しては、相手のタイプを把握して動機づけすることが重要です。先述した欲求に合わせた仕事を急に割り振ることは難しい場合も多いので、相手のタイプに合わせた動機付けを行うことがポイントです。

ここでは、3つのタイプを紹介したいと思います。Will(やりたい)が高まると動くタイプ、Can(やれそう)が高まると動くタイプ、Must(やらなきゃ)が高まると動くタイプの3つのタイプに分類されると思います。

それぞれのタイプに合わせて、やりたい理由を見つける(伝える)、やれそうな理由を見つける(伝える)、やらなきゃとおもえる理由を見つける(伝える)ことがポイントです。



3つ目の内発的動機付けされている事柄が、外発的動機付けに書き換えられてしまっている場合に関しては、改めて、自分のやっていることの意味や意義を周囲が伝えてあげること、自分自身で見つけることが大切です。

このようなケースは仕事をする中で起こりやすいものです。これから働くという場合には、自分自身の初心を書いて残しておくなどすることもポイントとなるでしょう。

記事まとめ

「外発的動機付け」と「内発的動機付け」はそれぞれ特徴が異なりますが、その特徴を把握したうえで、適切に使い分けることがポイントです。パフォーマンスの高さは「スキル」と「モチベーション」の掛け合わせで決まります。高いパフォーマンス発揮に向けたモチベーションコントロールのための参考として本記事の内容を活用してください。



著者プロフィール

  

永久保 達也

【プロフィール】
新卒でリンクアンドモチベーション入社。 大手・リーディングカンパニー向けのコンサルティングに従事。 採用領域の変革支援を中心に行っており、 インフラ企業、製造業、小売りサービス業の採用成功に向けての支援が強み。
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