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プレイングマネージャーとは?
求められる役割や失敗例を紹介




「プレイヤー」と「マネージャー」の役割を兼任するプレイングマネジャーは、 役割が複数あるため、「管理職の仕事をしながら個人の成果も追わなければいけない」「自分の仕事とは何だろうか」と言った葛藤を抱えやすいかと思います。今回は「プレイングマネージャー」に求められる役割や陥りがちな失敗例、改善方法をご紹介します。


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プレイングマネージャーとは?

■プレイングマネージャーの定義と役割

「プレイヤー」と「マネージャー」の役割を兼任する人のことを「プレイングマネージャー」と呼びます。スポーツの世界における選手兼任監督をイメージして頂けると良いかと思いますが、「プレイングマネージャー」は「現場で個人としての成果を果たす役割」「管理者としてチームの成果を高める役割」という2つの役割を担っています。

プレイングとは個人の目標を達成することです。ではマネジメントとは何なのでしょうか。マネジメント(management)は直訳すると「管理」や「経営」です。その原義は「馬をてなずけること」つまり、「困難な状況をなんとかすること」から来た言葉です。会社経営に置いては、個々人を束ね、目標を達成し、組織成果を上げることにあります。

ただ、従業員の働く理由が多様化し、キャリア選択の自由化が促進され、加えて事業戦略の複雑化が進む中では、「戦略の実行」ではなく「現場からの創発」が求められています。マネジメントが現代において、単なる数字の「管理」だけを求められているわけではないのが実情です。

参考:リンクアンドモチベーション マネジメント役割理解研修

プレイングマネージャーの背景

そもそも、なぜ一見中途半端にも思えるプレイングマネージャーという役割ができたのでしょうか。日本のビジネスの世界に登場したのは、バブル崩壊後ですが、主に下記2つの背景があります。

■商品市場の変化

現在はVUCAの時代とも言われています。VUCAとは、「V:Volatility(変動性)」「U:Uncertainty(不確実性)」「C:Complexity(複雑性)」「A:Ambiguity(曖昧性)」を合わせた言葉です。技術の進化やライフサイクルの変化により、商品の短サイクル化が進んでいます。

その結果、素早く市場の変化を察知し対応できるか否かが、企業の成長・存続の鍵を握っています。 そのため、プレイングマネージャーのように現場に近く、スピーディーに意思決定・方向転換できる役割の重要性が増しています。
参考:厚生労働省 産業構造、職業構造の推移

■労働市場の変化

更に、バブル崩壊以降多くの企業で経営の効率化、コストカットの視点が強まったことも要因です。 総額人件費の削減により売上に直接寄与しないポストが少なくなる傾向が出てきました。

それに付随してより直接的な業績成果・実力主義の評価制度導入が注目を集め、一人一人のプレイングスキルを求めるようになった結果、プレイングマネージャーのように役割を集約したポジションが必然的に生まれることになりました。

管理職(通常のマネージャー)との比較

マネージャーとプレイングマネージャーの違いは当然ながら、「プレイング」を兼任するか否かですが、「プレイング」を兼任することでどんな違いが発生するのでしょか?

■通常のマネージャーと比較した際の強み

マネジメントに専念をしてしまうと、顧客の声といった現場のリアルはメンバーからしか情報収集ができないため、そのメンバーと管理職が捉えている時間軸や空間軸の違いによって、大切な情報が入ってこないリスクがあります。

また情報共有の時間が必要になってきます。一方でプレイングマネージャーは実際に現場でプレイングをしているため、現場のリアルを肌感覚で理解をし、即時の意思決定ができます。そのため、市場状況が目まぐるしく変わるVUCA時代において、プレイングマネージャーの存在は非常に重要になってきます。

■通常のマネージャーと比較した際の弱み

マネジメントに専念できると、「部下育成」や「仕組み化・ナレッジ化」という中長期的な施策を考えられたり、組織全体を俯瞰して今一番注力するべき所に力を使う事ができます。

一方でプレイングマネージャーはプレイヤーとして「短期の売上目標」を達成する必要があるため、どうしても短期の勝負に集中してしまい中長期的な施策を考えづらかったり、全体を俯瞰する余裕がなかったり、全体を俯瞰できていてもプレイヤー業務に時間を取られて注力ポイントに手を回すことが出来なかったりします。


プレイングマネージャーの具体的な仕事内容

ここまで、「そもそもプレイングマネージャーとは何か?」と「通常のマネージャーとの違いは何か?」についてそれぞれまとめました。

では、「具体的に何をすればいいのか?」を紹介します。 プレイング(個人としての成果創出)が出来る方がプレイングマネージャーに抜擢されることが多く事、そしてプレイングの内容は事業内容や役割によっても大きく異なってくるため、「周囲のメンバーが効果的に動ける環境づくりをする」マネジメントの仕事内容を中心にまとめます。

前提として、「マネジメント」をより詳細に分類すると下記の4つに整理できます。


・ビジョンマネジメント

機能:自社、自部署が顧客に提供する価値や目指す姿を明確にし、それをメンバーに浸透させること
機能を果たすための行動例:ビジョン・ミッション・バリューの設計と浸透など

・戦略マネジメント

機能:ビジョンの実現のために「どのような顧客ターゲットに」「どのようなソリューションを」「どのように提供するか」を明確にし、メンバーに浸透させること
機能を果たすための行動例:中期経営計画の立案や自部署の目標決定など

・PDCAマネジメント

機能:戦略実現に向けたマイルストーンと定量指標を設定し、目標達成のためにメンバーと共に軌道修正を行うこと
機能を果たすための行動例:会議体の設計・運営、KPIの設計など

・メンバーマネジメント

機能:目標達成に向けて描いたプロセスをメンバーが実行できるように意欲や能力を向上させること
機能を果たすための行動例:面談でのモチベーション向上や日々の成長支援など

プレイングマネージャーにどこまでの役割を求めるのかは、企業によって異なりますが、現場に近い立場であるプレイングマネージャーに対しては、「PDCAマネジメント」「メンバーマネジメント」を中心に求めている企業が多いです。

プレイングマネージャーの問題点

プレイングマネージャーの方からよく聞く問題を4つほど紹介します。落とし穴を前もって理解した上で、対策や対処をしておくことが大切です。


■問題①全部を自分でやろうとしてしまい、長時間労働になる

プレイングマネージャーは役割が複数あるため、当然ながら仕事も多くなってきます。ただ「マネージャー」という役職上、自分の仕事は全て自分で責任を取る必要があると感じている事が多いです。

これ自体は素晴らしい事だとは思いますが、全ての仕事を自身の力だけでこなそうとすると、当然ながら業務量が逼迫してしまいます。その結果、長時間労働に陥ってしまうという問題があります。最悪なケースでは長時間労働が続き、疲弊し、生産性が低下し、更に労働時間が伸びるという負のサイクルに入ってしまうこともあります。


■問題②マネジメント業務を疎かにしてしまう

プレイングマネージャーにはプレイヤーで優秀な成績を収めた方が任命されるケースが多いです。プレイヤーで成果を出せてない人がマネジメントを兼務できるとは到底思えませんので、当然ですね。

そのため、プレイングには自信があるケースが多いです。一方でマネジメントというのはプレイングとは似て非なるものですので、全然違う筋肉が求められます。

その結果得意のプレイングに集中してしまい、マネジメント業務を疎かにしてしまうという問題があります。人間には未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまうという「現状維持バイアス」がありますので、そんな人間の特性もこの問題の発生を引き起こす一因です。


■問題③自分のやり方を押し付ける

先ほどもプレイングマネージャーにはプレイヤーで優秀な成績を収めた方が任命されるケースが多いとお伝えをしました。優秀な成績を出された方には当然ながら「自身の成功体験」が多くあります。結果として部下の成長のためにアドバイスをする際、良かれと思って本人の成功体験をベースに話を進める事が多いです。

これ自体は問題は無いのですが、部下の特性や思いを踏まえず、ただ自分のやり方を押し付けてしまうケースも散見されます。

プロ野球選手のバッティングフォームが千差万別であるように、部下にとっての最適な仕事のやり方は自身が成功したやり方とは異なるケースの方が良いため、自身が成功したからといって、そのやり方を押し付けてしまうのは問題です。


■問題④葛藤を感じやすい

詳細は企業によって異なりますが、一般的にプレイングマネージャーには様々な役割があります。例えば「短期の目標達成」と「中長期での部下育成」という責任を持っていたりします。

その結果短期の目標達成のために現場で顧客対応をしている時に、部下が「上司は全然気にしてくれてない」という不満の声を上げていたり、逆に部下育成のために勉強会を実施している時に、上司から「そんなことしてないで数字を作ってくれよ」というお𠮟りを受けたりするケースもあるかと思います。

この様にプレイングマネージャーは組織構造上「短期vs長期」「事業vs組織」「受容vs支配」という様々な葛藤を抱えやすいという問題があります。

プレイングマネージャーに求められる意識・スキル

プレイングマネージャーに求められる意識とスキルを本当に様々ありますし、職種によっても異なってきます。ただ今回はどんな職種においても共通して求められる意識やスキルの中から、特に重要なものをピックアップしてご紹介します。

■意識面

①葛藤を受け入れる覚悟

プレイングマネージャーに必須の意識は葛藤を受け入れる覚悟です。問題点のパートで記載しましたが、プレイングマネジャーには多くの葛藤があります。言い換えると、言い訳する材料が沢山あるということです。

そのため葛藤を受け入れる覚悟が無い場合は必ず、「プレイングが忙しいからマネジメントなんて出来ない」だったり「マネジメントで忙しかったから、個人成果が出てないのはしょうがない」だったりと言い訳をしてしまいます。

プレイングマネージャーには様々な葛藤を受け入れ、一見、二項対立のように感じる物事を、長い時間軸の中で同時実現していくことが求められています。

②マネージャーとしての役割理解

プレイングマネージャーはプレイヤーとは全く異なる役割です。ただ実情としては「プレイヤー業務に少し部下育成の役割も付与された」という形でプレイヤーの延長線上でプレイングマネージャーの役割を捉えている方が多いです。

プレイヤーとプレイングマネージャーは全く異なる役割です。前段でマネジメントの語源を紹介しましたが、マネージャーの役割を具体的に紹介します。

マネージャーは組織全体を機能させるためのコミュニケーションの結節点です。 具体的には人数が多いことで生まれるコミュニケーションの複雑性を縮減し、階層構造の中で生まれるコミュニケーションのズレを埋める役割です。

この結節点としての機能によって組織の縦のコミュニケーションをつなぎ、個々人の働きがいを高めながら、生産性を向上して事業全体の成果を創出することがマネジメント(管理職)に求められることであり、この機能は時代が変わっても本質的にはどこで働くにしても変わらない部分です。

■スキル面

①時間・タスクマネジメントスキル

プレイングマネージャーには大量の仕事があります。そのため、取り敢えず片っ端からやろうとすると時間がいくらあっても足りません。そのため、仕事の優先順位をつけたり、他人に一部を任せたりと、時間とタスクを管理し続ける事が大切です。プロジェクトマネジメント能力と呼び変えることもできるかもしれません。
→問題①に有効

②PDCAマネジメントスキル(≒仕組み化スキル)

プレイングマネージャーは多忙のため、「自分がいなくても回る仕組み創り」が求められます。「マネージャーがメンバーの気になる箇所を指摘する状態」から「メンバーが自ら振り返ることができる状態」にすることが大切です。簡単に言い換えると「誰でもわかるチェックポイントを作る」ということです。具体的には下記3点などは有効です。

・適切な指標の設計と浸透
・それを可視化する管理帳票の策定
・情報共有や問題解決のための会議の運用

→問題①②に有効

③メンバーマネジメントスキル

メンバーマネジメントのゴールはメンバーが成果を出すことです。では成果と方程式とは何でしょうか?。色んな方程式がありますが、成果=能力(スキル)×意欲(モチベーション)という風に整理することも出来るかと思います。

そのため、メンバーマネジメントスキルは二つです。一つ目は「能力開発スキル」。もう一つは「意欲開発スキル」です。部下の能力を開発することと、部下の意欲を引き出すことがプレイングマネージャーには求められます。

→問題②③に有効

④セルフモチベーションコントロール能力

セルフモチベーションコントロールとは言葉の通り「自分で自分のモチベーションをコントロールすること」です。ビジネスパーソンに限らず、スポーツや芸能などの世界で活躍するプロフェッショナルは問題に直面したときに自分の感情に左右されることなく、常にハイパフォーマンスを出せる状態を維持しなければなりません。

セルフモチベーションコントロールは全ビジネスパーソンに求められる能力ではありますが、プレイングマネージャーには特にこの能力が求められます。なぜならばモチベーションを下げる要因である様々な葛藤を感じやすい役割だからです。

→問題④に有効

参考:リンクアンドモチベーション セルフコントロール研修

プレイングマネージャーのスキルアップ方法

■役割認識に向けた意識変革

前提意識の変革は非常に効果的です。役割認識無きままのスキル付与は「のどが渇いてない人に水を与える」状態になってしまいます。そもそもモチベーション向上が自身の役割ではないと思っている人にモチベーション向上のスキルを提供しても、宝の持ち腐れです。

ただ人間には様々なバイアスがあるため意識変革は簡単ではありませんが、意識変革のために必要なことはなんでしょうか。それは「固定概念に揺らぎを与える事」です。「あれ??今まで○○と思っていたけど、そうではないのかもしれない・・・」と思って貰うことが必要です。

では固定概念に揺らぎを与えるためには何が必要でしょうか。それはその人が認識している時間軸と空間軸を広げる事です。時間軸であれば「あれ??私の時代は終身雇用が当たり前で、キャリア意識は必要なかったけど、今の時代は人材の流動化が進んでいるから、キャリア意識って必要なのかも・・・」というような形です。

時間軸に揺らぎを与える上で有効な手段が過去・現在・未来を考えてもらう事です。なぜならば、多くの場合「未来」について考えられておらず、「過去」の成功体系を正解だと思ってしまっているからです。

空間軸であれば「あれ??確かにマネージャーとしては今までのやり方で良いけど、他部署や全社のことを考えるとやり方を変えるべきかも・・・」というような形です。空間軸に揺らぎを与える上で有効な手段が360度評価です。360度評価で、多面的に評価を得ることによって、自己認知と他者認知のギャップを理解することができます。

■スキルの付与

①時間・タスクマネジメントスキル 時間・タスクマネジメントにおいて大切なことは期待値の調整です。期待値を調整するための観点は下記6つです。これらの期待値を事前に定めることはもちろん、自身の状況に合わせてすり合わせし続けることが大切です。

①目的:業務の目的を明確にしておくこと
②対象:業務の対象範囲を明確にしておくこと
③役割:業務における自身の役割を明確にしておくこと
④方法:業務のやり方や使えるツールを明確にしておくこと
⑤基準:業務において達成すべき基準を明確にしておくこと
⑥納期:業務をいつまでに終わらせるかを明確にしておくこと

②PDCAマネジメント

PDCAマネジメントのゴールは目的の達成に向けて、軌道修正をし続けることです。また軌道修正のためのステップは下記の通り、「問題発見」→「施策立案」→「行動促進」です。


③メンバーマネジメントスキル(能力開発スキル)

メンバーの育成を行う中で、「一辺倒な関わり方」ではなく、「状況にあった関わり方」(シチュエーショナルリーダーシップ)も大切です。 上司がメンバーにタスクを出す際の状況を、下図のように整理することができます。


縦軸は「上司側の認識」、横軸は「メンバー側の認識」として関わり方を整理できます。
例えば、上司側が「できない」と思っていてメンバーが「できない」と思っている時には「なぜできないのか?」と問いただすのではなく「教える」という行動が効果的です。

モチベーションの公式と同じく、メンバーがどの仕事でどの状況にあるのかを適切に判断し、関わり方を変えること大切です。

④メンバーマネジメントスキル(意欲開発スキル)

人のモチベーションは上記の3つの要素で構成されていると考えられています。

 「やりたい」と思う「目標の魅力」
 「やれそう」という「達成の可能性」
 「やらなきゃ」という「危機感」

上記3つの要素がそれぞれが高まることが重要です。

また、この3つが「掛け算」であることも注意が必要です。例えば、「すごくやりたいと思うし(目標の魅力あり)、必要性も感じている(危機感あり)けど、何から始めればいいかわからない・・・(達成の可能性なし)」というようにどれか1つでも欠けているとメンバーは動けません。簡単にそれぞれの高め方のポイントを整理すると、

 「目標の魅力」:行動に対する目的、意義を感じられる
 「達成の可能性」:目標に対する行動のプロセスが明確になっている
 「危機感」:期日がはっきりしており、自ら周囲に宣言している

となります。自分の関わり方が「偏りすぎていないか?」、メンバーに対して、「この人は今何が足りていないのか?」を考えることで最適な関わり方を模索することが重要です。


⑤セルフモチベーションコントロールスキル

セルフコントロールができるようになるために、なぜその状態になっているのかという深層の把握が重要です。
セルフコントロールができていない理由は、大きく以下の2つに分けられます。

①自分の特性やタイプを客観的に理解できておらず、モチベーションが下がったときに適切な解決法を使えずそのまま悩み続けてしまう。
②過去、他人、感情・生理反応などの「変えられないもの」に固執していて、未来、自分、思考行動という「変えられるもの」に注力ができていない。

自己特性を認識した上で、「変えられるもの」と「変えられないもの」をきちんと分類し認識することが大切です。

記事まとめ

変化・不確定性の多い現代ではそれに対応できる柔軟な企業の在り方が重要であり、プレイングマネージャーはその中で重要な役割を果たします。 ただし、適切にプレイングマネージャーの役割設計・スキル要件を整理しなければ現場は疲弊し、結果として成果に結びつきません。

経営側は自社として、プレイングマネージャーに何を期待し、責任を果たしてもらうのかをしっかりすり合わせることが重要です。






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