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タレントマネジメントとは?導入方法や効果について解説




皆さんは「タレントマネジメント」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?タレントマネジメントとは「従業員(タレント)が持つ能力や才能、スキルを最大限活かすための、戦略的な人材採用や人材育成等の人材マネジメント」のことを指します。

人々の働き方が大きく変化し人材獲得や育成競争が激化した近年、急速に注目が集まっている人材マネジメントの方法でもあります。タレントマネジメントに関する重要性は20年以上前から説かれていたものの、その意味や重要性を深く理解する人はまだ多くないのではないでしょうか。

そこで、今回はタレントマネジメントの定義と目的、近年注目されている背景や具体策についてお伝えします。


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タレントマネジメントとは?

■タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは「従業員(タレント)が持つ能力や才能、スキルを最大限活かすための戦略的な人材採用や人材育成等の人材マネジメント」のことを指します。

“talent(タレント)”の意味は2つあり、「才能・素質」という「能力」を指す場合と、「才能に溢れる人」という「人」を指す意味があります。

出版から10年以上が経った今なお人材領域のバイブルとして読み継がれている『The War for Talent』では、「『タレント』とはマネジメント人材を指し、あらゆるレベルで会社の目標達成と業績向上を推し進める、有能なリーダーとマネジャーを意味する(Michaels et al. 2001=2002)」としています。

引用:Michaels et al, ウォー・フォー・タレント,Harvard Business School Press


■タレントマネジメントが注目される背景

近年タレントマネジメントが注目され始めた背景は大きく3つあります。

①経営戦略の多様化

一つは「VUCA時代への突入」ということで事業環境が変化し、経営戦略も多様化したためです。VUCAとは、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっている状態を示す造語です。予測が困難な要因として4つの時代特性をあげ、頭文字を取って作られました。

V:Volatility(変動性)
U:Uncertainty(不確実性)
C:Complexity(複雑性)
A:Ambiguity(曖昧性)

VUCA時代以前は、V:あまり変化がなく、U:確実に先を見通せて、C:単純で、A:明快な物事が多かった時代でした。そのため、その時代の環境適応方法としては、勝てる戦略や商品を、拡大するマーケットに対して、迅速かつ丁寧に決められた手順で行っていれば成果が一定ついてくる「勝ち筋の徹底」が求められる時代でした。

しかし、VUCA時代へ突入すると、戦略や商品は「勝利」が保障されておらず、市場も飽和状態のため、挑戦し、失敗し、アジャストし、勝ち筋を見つけるという「勝ち筋の創出」が成功の鍵を握る時代になりました。誰も正解が見えない中で組織成果を上げるには、従業員1人ひとりのタレントを活かし、新しい勝ち筋を見つけていくことが必要なのです。

②労働市場の多様化

また「労働市場」においても変化が起きています。高度経済成長時代は、新卒一括採用の土台ができ、採用した人材を終身雇用するという雇用モデルが確立し始めました。企業側は、長期的なスパンでの人材育成や、一括大量採用が可能な時代でした。

しかし「終身雇用」「年功序列」が当たり前の時代は終わり、一度採用した後も企業は優秀な人材をリテンションし続けなければすぐに会社を辞めてしまう時代になりました。労働市場で従業員から選ばれる企業をつくることは、重要度も難易度も上がっているのです。

③働き方の多様化

労働市場の変化に伴い、働き方も変わってきました。働き方改革が推進され、企業と個人が「相互選択関係」になったことで、「副業」や「フリーランス」など、正社員としてではなく、スポットでの仕事や複数の企業で働く人が増えました。その結果、ワークライフバランスを求め一人ひとりの仕事に対するやりがいや、仕事の社会的意義を大切にする人が増えてきています。

参考:働き方改革とは?成功事例や企業に必要な対策を解説!

タレントマネジメント導入の目的と効果

■タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントの最大の目標は、企業が描く「経営戦略」を人事戦略の視点から実現することです。具体的には「売上・利益を上げる」「事業を拡大する」といった企業の経営目標に対して、「人材調達」「人材育成」「人材配置」「人材定着」という4つの機能で支えて実現していきます。

「タレント」の定義を全従業員にする場合と、特定のプロ人材や幹部人材に絞る場合の2パターンがありますが、どちらの場合でも上記の目的は変わりません。またこの範囲に関しては、どちらが正しいということは無く、あくまで得たい効果や対象に合わせて柔軟に設定していくことが重要となります。

参考:戦略人事とは?メリットや必要なスキルは?導入事例も紹介

タレントマネジメントの効果

では、タレントマネジメントにより実際にどのような効果が得られるのでしょうか?タレントの定義路「全社員」にアプローチした場合と、「特定のプロ人材」にアプローチした場合のそれぞれで得られる効果をお伝えします。

・全社員にアプローチした場合

タレントマネジメントを全社員対象に行うことということは、その範囲は新入社員から幹部クラスの社員まで、幅広い対象を捉えることができ、タレントマネジメントの4つの機能である「人材調達」「人材育成」「人材配置」「人材定着」のうち特に「人材配置」、すなわち適材適所に社員を配置するのに大きな役割を果たします。

社員一人ひとりの多岐にわたる経験や知識の蓄積をデータで把握し、個々のスキルだけでなく意識やモチベーションまでを高めるマネジメントを一人ひとりに提供することで、社員パフォーマンス向上が図れます。

また、一定の基準に達すれば、部署内の他社員との関係性を把握し社員がパフォーマンスを発揮しやすい組織に配置することで、個々人のスキルだけでなく、組織内の関係性も考慮した配置が可能になり、企業の持つポテンシャルの底上げにつながります。


・特定のプロ人材にアプローチした場合

タレントマネジメントの対象を、特定のプロ人材や幹部候補の社員に絞ったアプローチでは、タレントマネジメントの4つの機能である「人材調達」「人材育成」「人材配置」「人材定着」のうち特に「人材育成」「人材定着」に大きな役割を果たします。

まず人材育成に関しては、リーダーシップ論に基づいた戦略的な人材活用が実現できます。高い専門性や知識、経験を持った人材のさらなるキャリア開発を最優先すれば、企業としての基準の桁替えに繋がり、結果として方向性の明確化や強い組織の組成に繋がるでしょう。

また、人材定着に関しては、一部の領域で尖った人材の特徴を活かし、さらに伸ばすことで、本人のキャリア開発や自己肯定感の向上に繋がり、人材維持に繋がるでしょう。専門性のある人材は他企業からの誘致も引く手あまたであるため、リテンションしていくためには重要な施策となるでしょう。


タレントマネジメントの導入方法・手順

■導入の進め方

①目的の策定

人事戦略や経営戦略の実現のためにタレントマネジメントを行うということを意識することで、手段の目的化を防ぐことができます。タレントを活用する前に、「何のためにやるのか」という目標を立てましょう。

企業活動においては、企業の目的であるビジョンやミッションがあり、その目的を達成するための経営戦略、そして人事戦略が立てられます。そうすることで、初めてタレントを活かすことができる場所が生まれます。人事戦略と経営戦略を両立することを意識してタレントマネジメントの目的を定めましょう。

②タレントの把握

まず、企業に属する人材情報を集約し、可視化します。 氏名、学歴、経歴、資格、配属、目標、評価結果などの人材情報の集約を行いましょう。これら人事データを可視化することで、現状を明確にします。現状を明確にすることで、対策すべき課題が見えていきます。

またタレントに関する情報は必要に応じて修正し、常に最新の情報にアップデートできるように、関係部署間での情報共有ができる体制を整えましょう。

このように人材情報を見える化してタレントを特定し、タレントプールを作成します。

③タレントの採用・育成の計画策定

タレントの能力を把握したら、経営戦略や人事戦略上で必要な人材と現状のギャップを確認することが大切です。基本的には今いる人材を活用するのが理想ですが、不足することが多々あります。この不足分を埋めるために、採用や育成を行います。
採用においては、『The War for Talent』で述べられている以下の優秀人材のデータベースの作り方が参考になります。
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有望な候補者のデータベースを作る基礎となるのは、さまざまな場所でかかわった、あらゆる人材である。つまり友人や同僚、現在の従業員、以前に仕事のオファーを蹴った相手、あるビジネスには向かないが、他の場所では大いに力を発揮しそうな人物、あなたの会社を辞めた有能な元社員まで含める。こうした人々の履歴はどこかに保管され、見つけられるのを待っているはずだ。さらにデータベースに加えられる人材を、積極的に探す。ライバル会社の高業績者、会議で言葉を交わしたことのある人、何らかの賞を受賞した人物、採用のターゲットとする学校、団体、会社に所属する人など。
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こういった人々とは、常に連絡が取れるようにしておくことが重要だと述べられています。商品を送り、イベントに招待し、相手が興味を持つ情報を含むウェブサイトを紹介しておくことで、折にふれて連絡をした際には、求職の面接に喜んで応じてくれると述べられています。

このように、あらゆる手段を利用して集めたタレントのリスト、ならびにそれらの接触履歴を蓄積し、採用候補者の母集団を最大化することが重要です。

また人材開発については、配置先における実務で成長させるOJTと、研修等など特定の学習機会を設けて知識を得るOFF-JTがあるため、この両者の活用方法も合わせて考える必要があります。

④タレントの配置・活用

人材の採用・育成計画が立てられたら、タレントを適材適所に配置し、活用します。ここでは、現場でタレントと働く社員や管理者の役割が非常に重要になります。

タレントが期待していた能力を発揮できているか、育成計画通りに能力向上ができているか、モチベーションの増減はどうかなどを随時チェックしていく必要があります。

このように、現場の管理者との連携が欠かせません。タレントの配置までの前提情報を現場の管理者に連携しておくことで、現状とのギャップに気づくことが可能になります。

またタレントの情報蓄積においても、このタレントマネジメントの理解がないと、形骸化する恐れがあるため、現場との連携はタレントマネジメントの成功において必須と言えるでしょう。

参考:従業員のモチベーションを管理するポイントとは?組織におけるモチベーションの必要性から解説!

⑤モニタリング(人事評価、レビュー)

タレントマネジメントを実行するうえで忘れてはならないのが、適切な評価体制の構築です。評価体制を構築し、目標と実績に対して適切に評価や称賛を行うことでタレントのモチベーションを高める効果が期待できます。

計画を実施した際には、必ずモニタリングを行い、必要に応じて計画や育成システムの見直しを行いましょう。場合によってはプランを描きなおすことで、着実にタレントを成長させることができます。計画を遂行するだけはなく、評価と改善をセットで行いPDCAを回すように心がけましょう。

モニタリングをする方法としては、定期的な上司と部下による面談(1on1)や目標設定面談、評価面談などがあります。

参考:評価面談の目的とは?評価項目や進め方のコツを徹底解説!

⑥異動、能力開発

企業競争力を高めるためには、スピーディーで最適な配置・異動が必要不可欠です。経営戦略および人事戦略の変更に応じて配置転換の必要性が生じたら、なるべく迅速に引継ぎ・異動が行われるようにするのも大切です。

業務での成長で能力が不十分なところがあれば、速やかに研修プログラムやOJTなどの能力開発でフォローアップします。また本人のキャリア開発も考慮した際にさらに能力を伸ばせるよう、異動などでモチベーションを高めます。


■導入時の注意点

タレントマネジメントを行う際に注意すべき点は大きく2点です。

①目的を定め、実現に向けて定期的に軌道修正する

タレントマネジメントを成功させるためのポイントは、「タレントマネジメントを行う目的」を持つことです。冒頭でもお伝えしたように、タレントマネジメントを行う目的は経営戦略および人材戦略を実現させるためです。

しかし実際に動かす際には、業種や企業規模、どの範囲を対象にするかなどで目的は大きく変わってきます。計画の際に目的を定め、関係者と共通認識を取ることが重要です。さらに、実行する中で何度も目的に立ち返り、軌道修正しながら実行していく柔軟さも持ち合わせておくことが重要となります。

②関連部署間で情報連携できる仕組みをつくっておく

従業員全体をも巻き込む可能性のあるタレントマネジメントにおいては、関係部署間の連携が非常に重要です。現場とうまく連携できるかが「タレントの可視化」や「モニタリング」の成功可否を決めるといっても過言ではありません。

タレントマネジメントの目的や経営戦略における重要性をしっかり伝えて理解を得たうえで、協力してもらえるような体制・仕組みづくりを行うことで実現性を高めていくことが可能となるでしょう。

タレントマネジメントの成功事例

■企業ごとのタレントマネジメント成功事例

・日産自動車

日産自動車はタレントマネジメントに取り組む先進企業として有名です。2011年4月に発足させたグローバルタレントマネジメント部が中心となって、グローバルで活躍する多様なビジネスリーダーの発掘と育成を行わっています。

優秀な人材を発掘するためにキャリアコーチと呼ばれる社内スカウトマンが存在し、キーポジションの最適人財配置をトップに提案したり、組織・マネジメント・教育プログラム及びHRシステムの改善に関する提言を行っています。

キャリアコーチが世界中にいる優秀な人材を見極めたうえでデータベースに登録し、特に優秀な人材に関してはリーダー育成専用プログラムにエントリーされるなど、優秀な人材を最適に配置できるよう仕組みを整え、本社の役員や各部門のトップなど、それぞれに合致する人材候補を常に把握し育成しています。

・サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、「キャリバー」という職場環境や人材ニーズを可視化したシステムを社内公開しています。キャリバーを見ることで社員はキャリアチェンジを具体的に検討することが可能になり、社内異動公募制度「キャリチャレ」を活用した異動も積極的に行われています。

またトップが「人材覚醒会議」を実施し、本人の能力をもっと伸ばせるのではないかと、徹底的に話し合う会議が行われています。社員の能力を高めるために、人事部だけでなく経営陣も主導となっていることが成功に繋がっていることが分かりますね。

記事まとめ

タレントマネジメントを成功に導くためには、経営戦略と人事戦略の両方から計画策定することが必要不可欠です。社内に眠っているタレントを発掘し、人材にさらに磨きをかけることで、経営目標をより達成に近づけていくことが可能になります。

システムを導入して終わりではなく、関係者を巻き込みながらPDCAを回し続けることで、タレントマネジメントを成功させましょう。






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