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そもそも「研修」って何?
目的や形式、設計方法について




人材育成のための手段の一つが「研修」です。前提として、人の成長のためには「経験学習モデル」(※経験学習モデル=アメリカの組織行動学者デービッド・コルブ氏が提唱した、経験を活かした学習モデルのこと)などで言われるとおり、“現場経験”による学びの最大化が重要となります。

そのため「研修」はあくまでも人の成長に向けた補完的な役割に過ぎません。ではなぜ多くの企業で「研修」をお金を払ってまで実施をするのでしょうか?

本記事では「研修がなぜ大事か?」というWHYの部分、「研修にはどんな形式があるのか?」というWHATの部分、「研修をどうやって設計・実行するのか?」というHOWの部分を説明します。

※参照:中原敦「経験学習の理論的系譜と研究動向」


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WHY:研修が必要な理由

■研修の定義とは?

辞書には「研修」とは「職務上必要とされる知識や技能を高めるために、ある期間特別に勉強や実習をすること。またそのために行われる講習」と定義をされています。非常に抽象的な定義であり、人材育成のために企業が意図して実施する施策は基本的に「研修」と呼ぶことができるかと思います。


■そもそもなぜ人材育成が必要か?

なぜわざわざ企業はお金や時間を投資してまで、研修をするのでしょうか。そもそも「研修」とは人材育成の一手段です。研修を実施する目的を考える前に、なぜ「企業側」は人材育成が必要かを考えてみましょう。

人材育成の目的は「市場から選ばれる企業」になるための、経営の三要素と言われる「ヒト・モノ・カネ」における「ヒト」の強化です。


■なぜ人材育成において研修が必要か?

冒頭にも述べましたが、人材育成においては、“現場経験”による学びの最大化が重要となり、「研修」はあくまでも成長に向けた補完的な役割に過ぎないことが証明されています。ではなぜ「研修」が必要なのでしょうか。

最大の理由は「研修」をすることで現場での学びが最大化されるからです。逆にいうと「研修」が無いと現場で良い学びを得られない可能性があります。例えば野球を例に取ってみましょう。

恐らく一番成長出来るのは実践練習でしょう。ただそもそもバッティングフォームが分からなかったり、変化球の投げ方が分からなかったら、何を練習すれば良いか分からないですよね。

この様に「研修」という機会が人材育成においては非常に重要なのです。事実ビジネスに限らずスポーツといった他の世界においても名前は違えど「研修」が行われています。


■今の時代どんな研修が求めれるのか?

当然ながら、市場から選ばれる企業・個人は外部環境の変化によって変わってきます。それに伴い求められる研修も変化をしています。今の時代においてどんな研修が求められているかを、これまでとの違いの中で説明します。

・これまで
外部環境:勝ち筋徹底の時代
市場から選ばれる企業:決められた型を徹底遂行する「企業」
市場から選ばれる個人:ミスなく迅速に、言われた通りの動きを徹底できる「個人」
求められる研修:知識付与

・これから
外部環境:勝ち筋創出の時代
市場から選ばれる組織:試行錯誤を繰り返し、成果創出に挑み続ける「企業」
市場から選ばれる個人:自分で考えて挑戦し、自ら成長しながら組織貢献できる「個人」
求められる研修:行動変革

このように環境の変化スピードが早くなり、勝ち筋を創出しなければいけない時代においては、企業や個人には変化し続けることが求められています。そのために研修においても「行動変革」に繋げる事が非常に大切になってきているのです。

WHAT:研修の形式

■OFF-JTとOJT

研修の形式は大きく「OFF-JT」と「OJT」の二つに分ける事が出来ます。OJTとは、On-The-Job-Trainingの略称で、「実務を通じて業務を教える」育成方法を指します。

OFFJTとはOff-the-Job-Trainingの略称で、「実務と離れ、座学等で知識を身につけさせる」育成方法を指します。それぞれのメリット・デメリットを記載します。

OJT

メリット:実業務に沿った形で具体的に学びを得ることができる
デメリット:短期的な業務の話が中心になり、中長期的な会話ができなかったり、人によっては相談がしずらかったりする

OFF-JT

メリット:実業務から少し離れることで、新しい視点や考え方を会得できる可能性がある
デメリット:実業務での活用ができないリスクがある


■OFF-JTの具体例:講義型研修と参加型研修

OJT・OFF-JTともに様々な種類がありますが、OJTは別の記事にて詳しく解説しておりますので、今回はOFF-JTについての研修形式とメリット・デメリットをお伝えします。

※参照:OJTとは?メリットや歴史的背景、指導方法のコツを解説

講義型研修(講師からの説明を1WAYで聞いて学ぶ形式)

メリット:参加負荷が少ない
デメリット:知識定着率が5%と低い (※ラーニングピラミッド理論による)

参加型研修(参加者がワークを実施しながら学ぶ形式)

メリット:知識定着率が75%と高い (※ラーニングピラミッド理論による)
デメリット:参加負荷が大きい

※ラーニングピラミッド理論=アメリカ国立訓練研究所が学習方法と平均学習定着率の関係を示した理論のこと

※参照:JSTAGE アクティブ・ラーニングとは(総論)


■講義型研修の具体例:E-ラーニングと講演

講義型研修を紹介します。

E-ラーニング

メリット:時間の制約に関係なく、いつでも受講ができる
デメリット:個人の主体性に任されてしまう

講演

メリット:周囲の目があるため、参加意欲は向上しやすい
デメリット:時間の制約がある


■参加型研修の具体例:ケースワーク型研修と体感型研修

参加型研修の例を紹介します。

ケースワーク型研修(ケースワークを用いて気づきを得る形式)

メリット:実際にありそうなケースを学ぶことができる
デメリット:自分事として捉えられない場合がある

体感型研修(体感ワークを用いて気づきを得る形式)

メリット:体感することで気づきが腹落ちする可能性が高まる
デメリット:研修の設計難易度が非常に高い


HOW:研修設計の流れ

研修設計の全体像は以下となります。

■①事業課題と組織課題の整理

企業は経済合理軸で動いていますが、人材投資とは「短期的にはコスト」です。ではなぜ多くの企業で人材投資が行われているのか?

それは理想の事業状態を実現するために「人材投資」が必要だと判断されたからです。

そのため、研修設計の際には今の事業課題・組織課題を踏まえた時に人材投資がどれぐらい重要なのか?という問いを立てる事が重要です。もし事業を伸ばすために「人材投資」に注力すべきなのだとすれば次のステップです。


■②研修の概要設計

研修の概要は「目的」「対象」「方法」「基準」「納期」というフレームで整理する事ができます。

※他にも「誰に」「何を」「どのように」だったり、「5W1H」といったフレームも使えますが、「誰に」「何を」「どのように」では少し漏れがあり、「5W1H」では研修設計には細かすぎる部分があるので、今回は上記で整理させて頂きます。

目的

「なぜ研修をやるのか?」という問いです。
例えば、離職率の低下やマネジメント能力向上などが上げられます。

対象

「誰に対して研修をやるのか?」という問いです。
対象の選び方は多種多様です。新人・管理職という階層で区切る場合や営業・エンジニアという役割で区切る場合、3年目・6年目という年次で区切る場合や手上げ型・選抜型・推薦型などがあります。

方法

「目的を達成するための方法は何か?」という問いです。
例えば「キャリア意識を醸成させる研修」や「上司とのOJT機会」などがあります。

基準

「どれぐらいの基準で目的を実現するか?」という問いです。
例えば、離職率の低下という目的でも3%か20%という基準の違いで、研修概要は大きく変わってくると思います。

納期

「いつまでに実施する必要があるか?」という問いです。
例えば、実施までに半年あるのか1か月しかないのかでも、研修概要は大きく異なってきます。


■③対象者の態度変容の設計

研修の概要が決まった後に実施することが参加者の態度変容の設計です。この際に参考になるフレームが「表層・深層」「これまで・これから」というフレームです。(表層=起きている事実、深層=事実を引き起こしている原因)

下記のように研修に参加した後のどんな状態を実現がしたくて、そのためのボトルネックが何なのかを明確にすることが大切です。例えば管理職研修であれば下記のようになります。

表層×これまで:指示をメンバーに下ろすだけの管理職
深層×これから:メンバーのモチベーションを上げる指示ができる管理職
表層×これまで:過去の成功体験から、現状の指示方法が正しいと思っている
深層×これから:時代の変化に合わせてマネジメントスタイルを変化させる必要があると思っている


■④態度変容に導くコンテンツ設計

続いて上記の態度変容を導くためのコンテンツの設計です。どのタイミングで、どんなコンテンツによって、どんなメッセージを伝えることで、どんな態度変容を導くのかを細かく設計していきます。




■⑤コンテンツを滞りなく進めるオペレーション設計

コンテンツ内容が決まったら、そのコンテンツを問題なく実施するためのオペレーションを設計します。ワークの実施時間や資料を配布のタイミング、講師からの説明方法などの詳細を詰めていきます。オンライン実施の場合はブレイクアウトルームへの切り替えタイミングなども設計する必要があります。


■⑥研修実施に向けた運営側へのアナウンス

恐らく一人で研修を設計から運営まで実施することは少ないかと思います。研修の実施に向けて講師やスタッフなど、運営側の方々にもアナウンスをします。


■⑦研修実施に向けた参加者側へのアナウンス

さてここまでで研修を実施する準備が整ったので、参加者にアナウンスをします。参加者がどんな気持ちで研修に参加するかが、研修効果を決める一つの要素ですので、内容をただ伝えるだけではなく、説明会にどんな状態で臨んでほしいかという視点をもってアナウンス内容を考えることが大切です。


■⑧研修実施

進行スケジュールに従って研修を実施します。基本的には「研修前」「研修中」「研修後」という3段階です。「研修前」においては、会場や機材、資料の確認などを行います。

「研修中」はオペレーション通りに動かすことは勿論、今後に向けて改善点の抽出や、参加者の状況に合わせて柔軟にプログラムを修正することなども大切です。「研修後」は自己課題のアナウンスや、会場の片付けなどを行います。


■⑨振り返り&効果検証

研修における良かった点や改善点を整理します。また振り返りにおいては、カーク・パトリックの4段階評価などの観点を活用しながら、しっかり効果検証をした上で臨むことが大切です。

※参照:カーク・パトリックの4段階評価「研修評価と効果測定の一般的な考え方と進め方」


まとめ

本記事では「研修」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?少しでも皆様のお役に立てていれば幸いです。最後に特にお伝えしたかったメッセージを各パート毎にまとめました。

■WHY:研修が必要な理由
・研修とはあくまでも手段である。手段が目的化しないよう、常に大上段の目的に立ち返る事が大切である。
・「研修」によって現場の学びの質が大きく変わる。「研修」は人材育成において非常に重要な機能である。
・今の時代、研修には「行動変革」が求められている。

■WHAT:研修の形式
・研修の形式は様々である。目的に立ち返り、最適な形式を選択することが大切である。

■HOW:研修設計の流れ
・参加者の態度変容は簡単ではない。参加者の態度変容を実現するため、細部まで拘ることが大切である。





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