内定者フォローとは?内定辞退を防ぐ具体的な施策を紹介




今や多くの企業がそれぞれのタイミングで内定出しを行っています。

採用市場では通年採用を導入している企業もあり、入社してほしい優秀な学生ほど他企業への門戸が開かれています。 学生はいつでも他の企業の選考を受けることができ、常に辞退されるリスクがあると言えます。

内定辞退されることなく自社に対する志望度が高いままに、入社まで導くための方法について説明いたします。


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内定者フォローとは

内定者フォローとは、最終選考を通過し内定を付与した学生に対して行うフォロー施策です。目的は実施する企業によって様々ですが、多くの企業においては「辞退防止」「入社後活躍」の2つであることが多いと思います。

21採用の選考期から始まったコロナウィルス感染拡大に伴い、学生は経済不安から選考参加する社数を増やし、企業は採用プロセスのオンライン化を余儀なくされました。その結果として、学生は志望する企業について深く理解をする機会を得ることができず、内定承諾先を「会社基盤」「制度待遇」「人の良さ」などの表層的な内容で判断をしてしまっています。

これでは、より大きな基盤を持った会社や給与の良い会社からアプローチがあれば内定は辞退されるでしょう。また入社後、事業内容や仕事内容に深く共感して入社している訳ではないので、苦しい時や大変な時に耐えることができず、活躍することも望めないかもしれません。

また内定を付与してから、内定承諾もしくは内定式までに期間が空く場合には、いかに高い志望度で入社した学生も熱が冷めてしまう可能性があります。

これらを踏まえると、フォローとは内定者期間を通じて自社に対して高い志望度を維持するための施策であると言えます。

 

内定者フォローの要素(内定辞退を防ぐための行動とは?)


では内定者期間に内定者の志望度を高め、維持するためにはどのようなことが求められるのでしょうか。

弊社では、下記の4つの要因が関わっていると考えており、それらに対して適切にアプローチすることが重要であると考えています。

①自己選択感

学生が入社先の企業の選定に対して、明確な理由のもとに判断ができている状態を指します。

その状態になるためには、まず学生自身が企業の選定を行う「選社軸」を把握していること、そしてその選社軸の「評価レベル」を採用競合と比べた際に、確かに自社が最も優れている状態になっていることが重要です。

※学生の選社軸を把握するための観点「4つの魅力因子」

個人が何に魅力を感じるのかについて、弊社では社会心理学をベースに下記のように整理しており、それぞれの頭文字を取って「4P」と呼んでいます。

・Philosophy:目標の魅力「組織が何を目標にしているか」
・Place:活動の魅力「組織がどのような活動をしているか」
・People:人材の魅力「どんなメンバーが組織を構成しているか」
・Privilege:条件の魅力「組織に属することで得られる特権」

採用においては、4Pをそれぞれ2つの中項目、4つの小項目に分けており、計16項目に分解しています。学生の企業の選社軸として採用される内容は、この16因子に分類されることになります。





②選ばれた感

自己選択感では内発的な納得感を持てるかどうかが重要でしたが、選ばれた感は企業からの評価ポイントを認識しており、自分が求められていると感じれている状態を指します。

その状態になるためには、学生の能力・価値観そして志望動機を引き出すようなコミュニケーションを行い、その内容に対して的確なフィードバックが行われることが重要です。

③明確な入社後イメージ

入社後にこの会社で働くイメージを持てているか、そしてそれが学生自身の思うありたい姿に沿っているものであるかということにイメージできている状態を指します。

その状態になるためには、学生自身のありたい姿を言語化されていること、そしてそのありたい姿に対して適切な社員などの協力をもとに、職場や人の雰囲気などを伝えることが重要です。

④同期の絆

共感できる、もしくは優秀だと思える同期が多くいて、この同期たちとの働きたいと思え、その上で強固な関係性が築かれている状態を指します。

そのような状態になるためには、同期との相互理解ができるような機会を提供し、その上で強烈な共通体験を通過することが重要です。

コロナ禍における内定フォロー

コロナウィルス感染拡大の影響で、内定学生を集めることができず、多くの企業で施策検討に苦労したことかと思います。

一方で、経済状況の変化に伴い企業に関しての様々な評判が行きかい、学生の内定に対して親からの反対があったり、所属する団体のOB・OGからの話によって志望度が下がるなど内定辞退を誘発する要因は強まりました。

21採用においては、多くの企業で「オンライン面談」「少数の内定者との食事会」しか実施することができず、「選ばれた感」に関してはある程度提供できたとしても、それ以外の要因に関してはほぼ提供できなかったと聞いています。

何を施策として実施するべきだったのかに関して追って記載をしますが、企業目線での「やれること」ではなく、学生目線での上記の4つの要因を満たしたコンテンツを実施することが重要です。

 

内定者フォローの目的とは


内定者フォローの目的は企業によって様々です。そして目的によって、取りうる施策は異なります。
目的の違いは、内定者フォローによる効果を求める時間軸の長さによって変わります。

①内定辞退防止

最も短期的な効果を目的とした場合は、内定辞退防止が目的になります。
採用市場の買い手市場化が進むと、学生は複数の内定を獲得し、その上で入社する企業を選びます。その際に自社への志望度を高めるような施策を行うことで、学生の意思決定に際して有利に進めることができます。

この場合には、内定者フォローなどは集合型のイベントによって、自己選択感をより強められるようなコンテンツを実施することが重要です。

②ミスマッチ防止/入社後の早期退職防止

内定者期間だけでなく、入社後数年を意図する場合は、入社後ギャップを軽減し、早期離職を防ぐことが目的になります。 その場合には、学生の自社に対する過剰な期待を抑えることが重要になります。

自社の魅力は適切に訴求しつつ、入社後のリアルなイメージを持たせることで過剰な期待を抑え、早期離職を防ぐことができます。この場合には、現場社員との座談会などの個別もしくは小規模イベントによって、明確な入社後イメージを強められるようなコンテンツを実施することが重要です。

③入社後の即戦力化

入社以降を見据えて、採用だけでなく育成までを視野に入れる場合は、入社後の即戦力化を実現することが目的になります。

その場合には、入社後に求められるスタンスを提示し、その実践を通じて入社前の段階で自社で求められる基準を理解することができ、入社後すぐに成果を出すことができるようになります。

この場合には、内定者研修と称して何かしらの約束を行い、その実行度合いに対してフィードバックを行うようなイベントを実施することが重要です。

④エンゲージメント向上

採用を通じて、自社の組織改善や組織開発までを視野に入れる場合は、エンゲージメント向上が目的になります。エンゲージメントとは企業と従業員の相思相愛度合い、会社・事業成長への貢献意欲を表すキーワードです。

エンゲージメント向上によって、売上・純利益の伸長率が高くなる傾向にあることが、弊社と慶応義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室との共同研究によって明らかになっています。




弊社では、エンゲージメントを自社に対して期待していること(期待度)に対して、どれほど満足しているか(満足度)によって計測します。組織への帰属要因である4P・16因子を「期待度高い・低い」「満足度高い・低い」の2軸によるマトリクスにプロットすることで、エンゲージメント状態を把握します。

内定者フォローのタイミングでは、自社が満足を提供できる項目に対して期待を形成し、満足を提供できない項目に関しては期待をさせないようにすることが重要です。

例年、弊社とお取引をさせていただいている企業様にご協力をいただき、新入社員エンゲージメント調査を実施させていただいております。学生全体の傾向として有用な部分もございますので、是非内定者フォローの検討にご活用いただければと思います。




学生の期待度・満足度をプロットすると上記図の通りになりました。
簡単な考察を記載すると、下記のように考えている学生が多くいると想定されます。

◆期待度が高い項目:「開放的風土」「貢献実感」「成長実感」「経済報酬」
→風通しの良いオープンな組織で他者からの感謝を受けつつ日々、成長を感じながら高い報酬を得て働きたい

◆期待度が低い項目:「企業理念」「競争優位」「経営戦略」「社会的意義」
「意味報酬」「進取的風土」「人材・有能性」

→会社の「経営」に対する興味は弱く、仕事への「志・使命感」も薄い。また優秀な人材とチャレンジし続ける文化・風土は求めていない。

上記の結果をどう受け止めるかは企業次第かと思いますが、多くの企業で事業形態や価値の在り方が変わっている中では、あるべき期待値では無いように思います。これらの期待値を内定者期間を通じて、自社にとって望ましい状態へと 導くことが重要になります。

 

内定者フォローの進め方

実効性の高い内定者フォローを実現するためには、下記の4つのプロセスで進めることが重要になります。

①入社までに実現したい状態(目指す姿)の設定

能力だけではなく、自社の何に期待・満足した状態で入社するのかという「関係性」を設計し、 その状態に応じて内定期間のコミュニケーションを設計。

②学生が自身の意思について理解

学生個人の価値観・志向性そしてキャリアにおけるビジョンを把握し、学生が何に魅力を感じ、 入社する企業に何を求めるのかを把握。

③企業の魅力について理解

学生が重要視する要素に合わせた自社の魅力を訴求し、自社についての理解を促進。

④学生の意思と企業の魅力の接続

学生が求めているもの、企業が提供できるものを踏まえて、自社がオンリーワンとなるように、コミュニケーションを通じて納得感を醸成。

内定者フォローとして有効な施策例


上記のような内定者フォローの施策を実施するにあたり、どのような施策が望ましいのかについて、 整理できればと思います。

多くの企業にて実施されている内定者フォローの施策例としては、人事面談、先輩社員との面談・座談会、内定者懇親会を行われている企業が多いかと思います。それぞれの施策に対して、内定者フォローに求められる4つの要素に沿って効果の評価をすると、下記の表の通りになります。



全ての要素を一つのイベントで解消する必要があるわけではないので、それぞれの施策の特性を踏まえて内定者期間を戦略的に設計することが重要です。

一方で、翌年度の学生の採用を進める必要がある中で、内定者フォローに高い工数を掛けることができない企業様が多いかと思います。弊社では、上記の4つの要素を一度に醸成するようなイベントを設計させていただくことが多くあります。その内容を事例としてご紹介させていただきます。

内定者フォロー成功事例(大手メーカー)

ニッチ領域における事業を展開しており、採用においてもマーケットからの認知は小さい企業様です。そのため多くの大学の多くの研究室に声を掛け、エントリーを集めることが採用成功の一番の胆でした。

一方で、毎年学生からは内定辞退が一定の割合で発生し、問題視されていたものの、エントリーを集めるべく工数を割けずにいました。

またコロナの影響により、自社についての理解が浅いまま内定に至ってしまった学生が多く、継続的な人事面談で承諾意思を確認しつつも、自社への承諾をより強固にできるようなイベントが実施できないかという相談をいただきました。

その内定者イベントで実現したい状態の変化を下記の通り定義しました。

「自分自身の価値観や選社軸が曖昧で、企業情報が自分と結びついていない状態」から、「自分の価値観と自社の魅力を結びつけ、自分の目指す姿を理解した状態」へと変化させることで、内定者たちにとって唯一の企業になるというものです。



上記を実現するためにコンテンツの流れは大きく3つに分けられました。

①自己理解

BRIDGEなどの自己分析のツールを活用しながら、自分自身の価値観を知り、内定者対して自分自身の価値観を伝達することで、自分自身への理解を深めます。あmた同時に内定者同士の相互理解も促進します。

②企業理解

企業の魅力を整理する観点を提供し、その上で自分自身の知っている魅力を整理し、内定者間での知識のばらつきを抑え、どんな情報が知りたいかを整理する。その上で先輩社員に質問をしながら、更なる情報を収集し、企業の魅力について理解を深めます。

③共感の接点創造

最後に、その会社に入る動機とその会社で実現したいことを言語化したムービーの作成を内定者数人のチームで実施する。弊社の社員のフィードバックを通じて、客観的に見た学生と企業の繋がりを提示することで、学生の入社理由を明確にします。また映像作成を通じて、内定者同士の絆を醸成することができます。

記事まとめ


弊社で実施したインタビューにおいて、学生は買い手市場化を受けて複数の内定を獲得する傾向にあるという結果が出ています。選考中に学生も企業を選定して、1社の内定を貰うという売り手市場の論理は通用しなくなりました。

学生から選ばれる会社となるためにも、内定提示をしたら終了ではなく、内定者期間に新たな魅力に気づき、リエントリーができるようなプロセスを構築することが重要なのではないでしょうか。

著者

  

LM編集部

理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。
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