360度(多面評価)とは?実際の評価項目やメリットを紹介

360度(多面評価)とは?評価項目やメリット・デメリットを紹介


テレワークの導入が急速に進み、職場でのコミュニケーションや評価方法の見直しが進んでいます。 メンバーシップ型とジョブ型の良さを掛け合わせた新しい働き方が求められる中、注目されているのが「360度評価」(多面評価)です。 職場のコミュニケーションを活性化させ、個人のパフォーマンスを引き出す鍵となる360度評価(多面評価)、そしてその評価結果を活用するサーベイ研修とは一体どのようなものなのか、ご紹介します。


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360度評価とはなにか~そもそも「評価」とは?~

MBOや目標管理制度、事業上のKPIなど、働いていると様々な評価指標を目にします。その中で日々「評価」されながら働くのが当たり前になっていますが、「評価」とは何でしょうか。そもそも「その人」自身や「人の能力」は適切に評価できるものでしょうか。


360度評価のような「評価」はなぜ必要なのか~「評価」の目的は?~

「評価」や「フィードバック」という言葉が当たり前になってきていますが、評価されるのが好きな人は少ないのではないでしょうか。その理由の一つとしては、ダメ出しをされるもの、値付けをされるもののように感じるからだと思います。

では、なぜ「評価」は必要なのでしょうか。業績面以外での評価に関しては以下の前提があります。

企業で働いていると、無意識のうちに年収、待遇が向上していくことが当たり前になってしまいがちです。しかし、年収や待遇の向上は、個人が成長していくことが前提になっているのです。また、企業も株価の向上を期待されているため、同じく企業「成長」していかなくてはなりません。

つまり、自分の成長に繋げるために「今の状況把握」をすることこそが業績面以外での「評価」なのです。よって、「評価」はその人を見定めるものでも、能力を見える化するものでもなく、組織で働く中での周囲の認識とのズレをなくすためのものでもあると言えます。


360度評価のような「評価」はどのようにするのが正しいのか~「評価」はできるのか?~

さて、成長はどのように計るのでしょうか。事業や仕事面では、PLやKPIといった指標を日々目にするかと思いますが、組織や人の変化は定量化が難しいものです。しかし、成長するという前提があるため、現状を「評価」し、変化を「見える化」することが必要になります。

「評価」が非常に難しい理由は(「評価」が嫌われる理由)は、大きく2つあります。

一つは「正しい事実」など存在せず、「評価する人」によって評価結果が異なるからです。最初から最後まで評価対象者の仕事を観察し、その人が思っていることを理解することはできないため、評価する際にはいくつかの断片情報をもとに判断をすることになります。

そうすると、「評価する人」の主観や考え方の違いによって、評価結果が変わります。

例えば、仕事で悪い結果しか出せていなかったとしても、周囲から信頼されている人であれば「頑張ったんだろう」と好意的に捉えられやすいのに対して、信頼されていない人であれば「頑張っていないのではないか」と疑われてしまいます。さらに、リモートワーク環境下では、一層評価することが難しくなります。

もう一つは「人からのアドバイスは受け入れ難い」からです。人は無意識のうちに自らの行動を正当化し、肯定的に受け止める癖があり、確証バイアスとも呼ばれます。そのため、人からのアドバイスはいつも耳が痛く感じるのです。

このような難しさを乗り越え、本人の成長に繋がる「受け止めやすく、効果的なアドバイス」をすることが「評価」には求められます。


360度評価(多面評価)がなぜ選ばれるのか・何のために使われるのか

「評価」の難しさを乗り越え、「成長」という目的により効果的なのが360度評価(多面評価)です。その中身や選ばれる理由、ゴールは一体どのようなものでしょうか。


360度評価(多面評価)とは

360度評価(多面評価)とは、上司だけではなく、同僚、部下の複数名から、日々の職務行動を評価する評価方法のことです。複数名によってつけられた評価を平均することによって評価のばらつきを抑え、より客観的な結果を得ることができます。これは評価される本人に対しても評価に対する納得感を高めることができます。

周囲からの評価を求めるため、様々な関係者からの評価を集めることになりますが、下記のような評価者、目的、優先順位での調査を推奨しています。

①上司・管理職(業務の基準の確認)
②職場メンバー・部下(実際の業務の様子を把握)
③自分(周囲の認識との相対化)
④同僚・同期(よく知る仲間からの評判)
⑤顧客・関係部署(価値の提供先からの評価)


360度評価(多面評価)がなぜ選ばれるのか~メリット・デメリットとは~

360度評価(多面評価)が選ぶ際のメリット・デメリットは下記の通りです。

<メリット>
・実際の業務の様子をもとに、個々人の現状が明確にできるため、課題の抽出がしやすい
・業績面の成果を補足する形で、パフォーマンスが見える化される
・職場の連携がうまくいっているか、本人の能力が発揮できる環境か(関係性にねじれが生じていないか)どうかを判断できる
・自己認識と周囲の認識との差分が明確になるため、成長課題や開発課題が明確になる

<デメリット>
・同一の状況を準備した上で回答ではないため、状況の単純比較ができない(考課(人事評価)には活用しにくい)
・能力やポテンシャルを評価するわけではないため、絶対的な評価や経年変化は計測できない
・年次や風通しの良さなどの風土によって、回答が正確にでない恐れがある(回答者から見た印象や感情が入る)
・360度評価(多面評価)サーベイ結果を見るだけでは意図が伝わりにくく、納得感が生じにくいためフィードバックの場が必要になる

上記のデメリットは、360度評価(多面評価)の運用によって回避できる部分もあります。


360度評価(多面評価)をどのように活用するか~運用事例のご紹介~

360度評価(多面評価)を成長のために用いることはご説明しましたが、実際に活用されている企業の事例もご紹介します。

①管理職の育成課題の抽出のために活用
管理職のトレーニングにおいては、知識習得形式の研修は実践しやすいものの、マネジメントの実践トレーニングをどう実施するかが問題になります。そこで管理職研修では、各管理職の課題を抽出するために、360度評価(多面評価)の結果を用いた課題解決形式を採用することが多くなってきています。

特に、既任管理職向けの研修では、360度評価(多面評価)の結果を活用することが昇格後一定期間が経った管理職に変化を促すことに繋がり、非常に有効です。

②研修効果の測定として活用
個別の課題を特定するだけではなく、研修を経た現場での変化を測定する目的で、事前事後の360度評価(多面評価)を行う企業も増えています。管理職360度評価(多面評価)サーベイ研修では、マネジメントに変化が起き、上司が、メンバーから見た認識が変化したのかを測定することで、研修での学びを現場活用できたかを測定することができます。

③評価の参考指標として導入
直接的な評価指標としての活用にはリスクが伴いますが、「メンバーからの評価が一向に上がらないマネジャー」や「協働者との連携が全くできないメンバー」など、職場の実態が一部見える化されるのが正直なところです。

ある企業では、昇格・降格の検討の一材料として、2年分(半年に1回、3回分)の360度評価(多面評価)スコア結果を評価の参考指標として活用しています。

④状況の定点観測で運用
メンバーの変更、事業環境の変化など、同じ職場であっても状況は日々変化します。その中で「自分に今何が求められているのか」を明確にするために360度評価(多面評価)が有効です。

周囲と気持ちよく連携し、個人の能力を最大化させるために、今の課題は何なのか、周囲から何を求められ、どのように見られているのかを定期的に測り、活用する企業が増えています。

⑤職場のコミュニケーション機会として活用
普段の業務の中では、お互いに求めたいこと、感じていることをきちんと伝える機会はなかなかありません。360度評価(多面評価)では、仕事ぶりや職場で期待する役割を伝えることができるため、メンバーが互いの成長に向けて協力するために活用する企業も増えています。

360度評価(多面評価)サーベイ結果をもとに職場でコミュニケーションをとることで、成果につながるフランクなコミュニケーションをとることができます。


360度評価を導入する際に検討すべき点

360度評価(多面評価)で得られる効果を最大化するためには、設計から運用、現状との接続などにコツが必要です。


効果的な360度評価(多面評価)の設計とは(リンクアンドモチベーションの特徴)

前述のメリットを最大化し、デメリットを最小化するために、リンクアンドモチベーションの360度評価(多面評価)に下記のような特徴があります。

①期待度:各回答項目に対する現状の「満足度」だけではなく、「期待度」も調査し、周囲が何を求めているのか、要望が明確になる設計
②網羅性:役職ごとに求められる役割を網羅的に設計し、「何が求められていて、何が求められていないのか(注力しなくていいのか)」を明示する設計
③具体性:課題となる項目が絞られた上で、すぐにアクションを取ることができる具体的な設問を設計
④偏差値化:数万人の回答を元に、偏差値がわかる設計。人事や上司が状況を把握しやすい。
⑤相対化:結果を突きつけられるだけでは受け止めにくいため、「結果を見たい、改善したい」という思いを引き出す場を設計


効果的な360度評価(多面評価)の運用とは

運用面で注意すべきは下記の点です。

■事務局(人事)
・活用の目的を明示し、回答者に率直な意見を提出させるために告知する
・サーベイ結果を腹落ちさせるための場の用意する
・組織・経営の方針や要望の提示する

■回答者:上司(評価者認知)
・課題を明確にするため、期待度と満足度ともにメリハリをつけた回答をする
・「基準」を提示しするため、現場の意見により過ぎない回答をする

■回答者:メンバー(協働者認知)
・課題を明確にするため、期待度と満足度ともにメリハリをつけた回答をする
・関係性を気にするのではなく、相手の成長のために回答をする(気を使った回答をしない)

■参加者(自己認知)
・全ての意見に迎合せずに、成長や目標達成、目的実現を目指した課題設定をする
・会社の要望やハイパフォーマーの傾向を踏まえた方向性決定をする
・個人のビジョンを踏まえ、実現したいプランを策定する

360度評価(多面評価)の評価項目例

360度評価(多面評価)のリンクアンドモチベーションでの項目例を紹介します。特に、管理職向けの項目例は以下の通りです。
参考:日本のミドルマネジャー(中間管理職)の特徴

■日本のミドルマネジャーの強みである項目
(上司回答版)
・目の前の目標を達成するために尽力すること
・自部署の役割や目標を意識した行動をとること

(部下回答版) ・部下が問題に直面した時に、サポートすること
・気軽に相談できるオープンでフランクな対応をとること

■日本のミドルマネジャーの弱みである項目
(上司回答版)
・顧客(関連部署)ニーズの変化や動向を伝えること
・中長期的な計画を見据えて担当業務を行うこと

(部下回答版)
・業務に関する評価の基準を明確に示すこと
・自部署の戦略遂行・目標達成のための具体策を示すこと

マネジメントの360度評価(多面評価)では、上記のような項目を調査しながら、マネジメントの視座・視界は適切に保たれているか、マネジメントが旗を振れば現場は動く信頼関係が築けているのかを測定することができます。

現場の目標を追う力が強すぎると、現場最適が横行し、部署間の連携が阻害される「タコツボ化」や、その部署にとっては良いマネジャーだが全社最適が考えられない「現場の棟梁化」が生じることがあります。

また、テレワークや働き方改革に伴って現場のコミュニケーション不足・マネジメント不足が生じていることもあります。そういった、個別のマネジメント状況を把握することが可能になります。


360度評価(多面評価)のまとめ

これまで、日本企業では年功序列型で、役職が上がってからは明確な節目がなく、成長の機会が少ない状況でした。しかし、現在日本企業は不況の中で強くなることが求められており、一人ひとりの成長が必要です。

また、リモートワークやジョブ型への移行が進む中、相互の成長を支援する仕組みや、ジョブの連動性を高めるための仕組みとして、360度評価(多面評価)に一層注目が集まると予想されます。

上司が部下に、部下が上司に興味を持ち、お互いの成長のために協力し、強い信頼関係で職場をつないでいく。その鍵となるのが、360度評価(多面評価)です。


著者プロフィール

  

杉浦 心

【プロフィール】
リンクアンドモチベーション入社。 以降、大手企業向けのコンサルティングに従事。 育成・風土開発・組織改善・採用の幅広い領域で経験を積み、 小売サービス業、製造業、製薬業様の事業成果創出に向けた企業変革が強み。


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